トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ39)

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部屋に入ってきた流星は、私に小さなボトルを渡した。微かに紅く色づいた液体が中に入っている。

「香水？」

「そう。ちょっと早めの誕生日プレゼント。ほんまは当日渡す予定やったけど、せっかくやからデートに付けていきや」

「えっ…ありがとう」

突然のプレゼントに戸惑いが隠せない。ブランドにはあまり詳しくないけど、見たことはある。きっと人気商品だよね。

「試しに付けてみる？」

そう言うと流星は、私の手首を取って香水を付けた。少し屈んで私の手を取る姿、側から見たから王子様みたいなんだろうな。

「わ…大人の香りだ」

「えろいやろ？」

にやりと笑う流星。ああ、プレゼントも含めてモテる理由がよく分かるわ。

「明日この香水付けていくわ。本当にありがとう。プレゼント嬉しい」

「おん。頑張って」

流星はグーサインを掲げると、部屋を後にした。

その夜はやはりよく眠れなかった。

不幸にも太陽くんと初めてデートした日の夢を見てしまい、何もしていないのに疲れたような気持ちになった。

ーー望:おはよう

ーー望:ごめんやけど30分くらい遅れる

家を出る前にはそんなラインさえ届いて、私は玄関で濵田さんのコレクションであるルアーを触りながら心を落ち着かせていた。