トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ36)

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お風呂から上がると居間に２人の姿はなかった。

ふと縁側を覗くと、金髪と青いパーカーが目に入った。

その隣に腰を下ろす。

「濵田さんはもう寝たの？」

「喧嘩してもうたわ」

「明日になったら忘れてるよ」

意外と繊細な流星。なんだかんだ濵田さんのことが好きで、頼りにしてるはずだ。この間の話を聞いて余計にそう思った。

「濵田さんと別れるなんてすごい奥さんだよねえ」

「優しさの塊みたいな人やのにな、濵ちゃん」

「でも昔は遊んでたんでしょ？」

隣を見ると思ったより近くに流星がいて、私はぎょっとした。すでに肩と肩が触れ合っている距離だ。少し動けば鼻先がぶつかりそうな。

「らしいけど」

なんと流星はその距離のまま返事をする。恐ろしい、何人の女の子を勘違いさせてきたんだろう。

「優しいからモテるんやろな。俺も女やったら好きになってるわ」

「女じゃなくても好き…」

好きじゃん、と言いかけた時に私のスマホがぴかぴかと光った。流星の視線は自然とスマホへ。

ーー望:今日はありがとう。めっちゃ楽しかった！

ーー望:次、いつ会えるかな？

「ええ感じやん」

「だから怖いの」

「面倒くせー」

辛辣な発言に私は流星のほっぺをつねる。

「ほっぺはつねるものじゃなくてチューされるもの…」

「はあ？寝言は寝て言って」

そう言うと、流星は私にほっぺをつままれたまま、えへえへと笑った。