トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ22)

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22. ページ22

顔を上げると、にっこりと笑う小瀧くん。何だか照れくさくなってメニューに目を戻した。

「えっと、フレンチトーストと紅茶で」

「こないだ食うたやん？」

口を滑らせる流星の脛をカウンターの下で蹴る。

「イッッ」

「紅茶はストレートとレモンとミルクがございます」

「ミルクでお願いします」

「かしこまりました」

「あ、俺もいいすか」

隣で流星が手を挙げた。小瀧くんは一瞬表情を曇らせたが、すぐに流星の隣に立った。

「俺もフレンチトーストとホットコーヒーで」

いや、同じ物頼むんかい。

「かしこまりました」

小瀧くんは私にしたように流星に微笑みかけると、カウンターの中に入って行った。

「…あれがイケメンくん？」

「うん。一応、流星より歳上だよ」

「ほーん」

流星は紅茶を注ぐ小瀧くんを見つめている。流星、何しに来たんだろ。

「お待たせ致しました」

フレンチトーストと紅茶が同時に届いた。熱々を一口頬張ると、あの時と同じ味がする。

「ふんぐっ」

そして隣ではあの時と同じ光景が繰り広げられている。神ちゃんが急いで水を渡していた。

カウンターの中では３人が楽しそうに話していた。不意に１人で突っ立っていた小瀧くんが脳裏に浮かんで、よかったなあと思った。