トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ17)

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予定より早く買い物を終えた私たちは近くにある公園でお茶をすることにした。公園には数台のキッチンカーが停められている。

海辺沿いの公園なのでカップルも多い。うーん、眩しい光景。

「流星は彼女欲しくないの」

「今はあんまり」

「ほな、こないだ朝帰りしたのはなんなん」

「別に。友達」

友達の意味が言葉通りでないことは私にもわかる。まあそのつもりがなくても女の子が寄ってくるよなあ。

「濵田さんは？」

「俺もうおっちゃんやで」

「今年でいくつ？」

「３３」

「まだ全然いけるやん」

「もう懲りたわ」

苦笑する濵田さんも昔はやんちゃだったみたい。信じられないなあ、今でもベストが肩からずり落ちているような人なのに。

「恋愛って難しいよね」

私がぽつりとつぶやくと２人は笑うのをやめた。

幸せになりたい。だけど幸せってなんだろう。

「好きな人と付き合えるだけでもすごいのに、その人と一生を添い遂げるなんて奇跡だよね」

目の前で微笑み合うカップルを見て、ピーチティーを一口飲む。あの２人の未来なんて誰にもわからないのだ。

「相手があってのことやから簡単なことではないわな」

濵田さんが静かに口を開く。

「せやけど、そこまで難しいことでもないと思うで」

「…」

濵田さんの言葉は寄せては返す波のように、私の中で何度も繰り返されていた。