トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ15)

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「なになに」

さっきまで「ー」の形をしていた目がしっかり開いている流星は、私のスマホを覗きこもうとする。

「わあ、起きてるじゃん！」

「大きな声出すから」

「じゃあ早く用意して」

「へーい」

流星はやっと腰を上げると洗面所へ向かって行った。流星が去ったあともう一度画面を見つめる。

望くんって言うの？名前まできらきらしてる。すごい。

とりあえず返事をしよう。

ーーA:いえいえ。よろしくお願いします。

ーーA:望くんって名前なんだね。

「ただいまー」

流星と入れ替わりで、濵田さんが居間に現れた。

「流星は今顔洗ってる」

「おっけー。それ終わったら出るか。先に昼飯にする？」

「するー」

「望から連絡来た？」

不意打ちの下の名前呼び。もうそんなに仲良くなったのか。

「うん、まあ」

適当に濁すと、濵田さんはにんまりと笑った。ただそれ以上追及してくることはしなかった。

流星の支度が終わると、私たちは濵田さんの赤いワゴンに乗り込む。運転担当は濵田さん、ナビ担当は私、流星は後部座席で寝てるか1人でめちゃくちゃ喋るかのどちらか。

あんなに寝ていたのに、車が発進すると同時に流星はぐーぐーと眠り込んでいた。