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無知の知 ページ36

「あぁ、そういう事。厳密には生まれ変わりとは言えないんか?」

顎に手を当て考え出すチーノ

残念ながら瓶底眼鏡のせいで真面目な雰囲気には見えない

グリムは紡がれる答えを待ちわびながら、自分でも考察していく

(つまり、総統様は軍曹だけど、生まれた後からその罪を背負った?)

「まぁ、そういう事ですね」

不自然に続いていく会話は、グリムに不思議な感覚をもたらす

チーノは何処からかホワイトボードを取り出し、図で説明していく

ホワイトボードを見て、グリムは軍曹を思い出し思わず泣きそうになるが、目を擦った

もちろん、チーノもそれに気づくわけで

「……すみません」

ホワイトボードを出したことに対して謝っている訳では無さそうだ

それこそ、他の何か重要なことが隠れているような…

「話を続けます。知っていると思いますが、俺の言う罪とはこの世の必要悪の事を指します。
 必要悪は形成されなければいけない悪。その代表例はキリストですね。
 彼はこの世の罪を背負って他界した。もちろん、それだけで人間の罪は償いきれません。
 それで用意されたのが貴方たち必要悪。そして、それは無くすことは出来ない。
 もし死んでしまったら?まず、必要悪には相性があります。
 それは自ら変えることは決してできない。グルッペンは軍曹の代わりです。
 世界が用意した最悪のプレゼントには、今まで必要悪だった人の記憶は受け継がれません。
 しかし、軍曹は早くに他界した。そこで何かが狂ったのでしょう。
 軍曹の記憶はグルッペンに受け継がれた」

目まぐるしく出てくる新たな情報に、グリムは目が回りそうになる

もちろん、未だにすべては理解できない

しかし、これだけは分かった

分からなければ、気付かなければ……受け入れなければいけないことをグリムは分かった

「軍曹は…死んだんだね」

今までの悲観は入っていない

吹っ切れたような声色と表情

チーノはその発言に眉をピクリと動かした

「思ったよりあっさりですね。
 グルッペンの中に居る軍曹をどうにかしようと足掻き始めると思っていましたが…
 いい心意気です」

グリムにはそう思えない理由があった

(皆様は、他の誰でもない、人格と意思を持っている。誰かと重ねるのは、いけない)

自らに課した制約

無知の罪であるが故の、最低限の配慮

自分には、知らないことがたくさんなるとグリムは知っている

無知の罪は、一番必要である知識を得て、役目を果たす

不可思議な縁→←軍曹という男



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作者名:ソルト | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年11月12日 7時

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