忠誠 ページ4
「…やっぱり、グリムやん!」
そういって、一人の青年は、グリムに近づく
アシンメトリーの髪が、グリムの顔をくすぐる
「マンちゃん?」
ぽつりとつぶやいた言葉に、マンちゃんと呼ばれた青年は、首を縦にブンブンふる
「そう。マンちゃんやで」
グリムはその青年に抱き着く
「よかった…本当に。あの頃が懐かしいなぁ」
その言葉に、青年は苦笑いをこぼす
「グリムのおかげで強くなったで。ほんま感謝しとるわ」
「マンちゃんが真剣にやったからこそだけどね」
グリムの嬉しそうな声に二人の青年は微笑んだ
コンコン
またノックの音が鳴る
大人数なのか、ギャーギャー騒ぐ声が聞こえる
「どうぞー」
ぺ神と呼ばれる青年は、その声に反応して返事を返した
ガチャリ
扉が開いた
その先には11人の青年がいて、ゾロゾロと医務室に入ってきた
そのなかの一人は、以前グリムと戦った人物だった
「気分はどうだ?」
ハーフバックの髪型をした金髪の青年は、紅の瞳でグリムをとらえた
「最悪です」
青の瞳はキッとグルッペンを睨みつける
その反応に、グルッペンは愉快そうに笑う
「それはすまなかった」
申し訳なさそうにするグルッペンを見て、グリムは罪悪感をおぼえた
その罪悪感を断ち切るように、質問をした
「それで、本題はなんですか?殺意は感じられないんですが」
「おや、聞いていないのか…」
グルッペンはそう言葉をこぼすと、楽しそうな表情をした
「我々の仲間にする」
その言葉に、グリムは目を見開く
「とんだご冗談を…」
「冗談じゃないゾ?」
グルッペンは少しイラついて話した
「白い死神のためにトン氏を説得したんだゾ」
その言葉に、カーキ色を基調とした軍服を着た青年がため息を吐いた
「…何故私を必要としますか?」
その問いに、グルッペンは自信満々に答える
「貴様が我々の仲間になれば、大幅な戦力増大が見込める。それに…」
二人の青年に目を向けた
「俺の仲間もそれを望んでいるからな」
グリムは一度下を向き、そして顔をあげた
その顔は満面の笑みだった
「よろこんで」
「白い死神よ。この手を取れ」
グリムはグルッペンの手を取った
「あなたがたに一生の忠誠を誓いましょう」
そして、グリムはある言葉を紡いだ
「ハイル・グルッペン!」
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