エロいゾ ページ28
「この首の跡はどうした？虫にでも噛まれたのか？」
軍服とは対照的な白い手袋をはめたグルッペンの指が、グリムの首筋の上をなぞる
正確には、赤く充血している部分をなぞった
二人の立ち位置の関係からグルッペンの表情は見えないが、声色は明らかに不機嫌だった
「あ、えと…」
やましいことがある訳でも無いのに、グリムはとっさに口籠ってしまう
グルッペンの言葉に怯えてしまったのだ
そんな事当の本人が分かるはずもなく、ますますグルッペンは不機嫌になっていく
「…はぁっ」
息を吸う音がグリムの耳に届けられたと同時に、グルッペンの髪の毛が首を擽った
その後に感じたのは生暖かさ
暗転
グリムは近くにあったソファーに押さえつけられ、
グルッペンは充血した場所に上書きするように噛みついた
「っ！？」
チリっと走る痛みとグルッペンの息遣いにグリムは赤面する
(絶対からかってる…)
抵抗しようにも両手は押さえつけられ、足を動かせばグルッペンに触れてしまいそうだった
二十秒ほど噛みついていたグルッペンは最後に噛んだ部分を舐め取って、
満足そうな顔をして首筋から顔を離した
「ひっ！？」
ぬるりとした感覚と、外気に晒された後の冷たさにグリムは声を上げる
その反応に、グルッペンは面白そうに笑う
左手をグリムの頬に添え、言葉を放つ
「お前の主は私だ。そうだろう？グリム。お前は私以外の者に唾をつけられてはならない」
妖艶な笑みを浮かべたグルッペンから、思わず視線を外す
グリムは放たれた言葉の意味を理解出来なかった
否、理解しようとしなかった
理解してしまえば…
(あぁもう！顔が熱い…)
体が沸騰してしまいそうな熱を帯びる
その反応にまたもやグルッペンは笑った
「…離してください」
言いたい事は山ほどあったが、告白紛いの事を言われ、動揺したグリムにはそれが精一杯だった
しかし、その要求さえもグルッペンには通らなかった
「それは無理やなぁ。この状況で逃げれるとでも思っとる？」
いつもよりも低い声でグルッペンは問う
自然に出た関西弁は、彼が本音を言っている事を証明するのに十分すぎた
グリムは抵抗する気力もなくなり、瞼を閉じた
その時だった
「なぁにやってるんですかねぇ？」
聞き慣れた
トントンが、扉を開けて二人の様子を見ていた
(貴方様は神か)
グリムはその隙にグルッペンから逃げ出し、トントンの後ろに隠れた
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