部屋での勘違い ページ21
寝落ち
この三文字が今この場で一番似合っている
グリムはまだ意識はあるようだが、ひとらんらんはグリムよりも酒が弱かったのでもう寝ている
「…あぁ、いっそ話してしまえば楽なのになぁ」
落ちかけの意識の中、グリムはそう呟いて机に突っ伏した
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コンコンコン
ドアがノックされる
しかし、扉の向こうからの反応はない
「グリム遅いなぁ」
ノックした人の正体はトントンだ
時間厳守をしていたグリムが遅れるのは珍しいということで
朝食の時間になっても来ないグリムを呼びに来たのだ
食事は祝日なので全員で食べなくてもよいのだが、
安否確認ができていないため、こうしてトントンは部屋の扉をノックしたのだ
ちなみに、ひとらんらんの部屋にはオスマンが向かっている
「入るで〜」
ドアノブをひねれば鍵はかかっていないようで、トントンは戸惑いながらもその扉を開けた
すると、そこには二人の人影があり、机に突っ伏すように倒れていた
「!?」
トントンは周りを警戒しながら二人に近付く
すると、「すぅ…すぅ」と寝息が耳に届いた
トントンはその様子に安堵し、インカムを通して報告をする
「こちらグリムの部屋にいるトントン。グリムとひとらんらんは酔いつぶれて寝てます」
<ご苦労…ん?二人は一緒に寝ているのか?>
グルッペンの問いに、トントンは返事をする
なぜそんなことを聞くかと考えていると、急にトントンの顔に熱が集中した
つまり、同じ部屋で男女が寝ているのか?と聞いているのだ
「いや、あの…仲睦まじく寝ているだけであってそういうやましいことはですね」
<ハハハッ。いや、了解した。二人を起こしてやれ>
「了解」
その言葉を最後にトントンはインカムの通信を切り、ひとらんらんを起こそうと声をかける
体を小さくゆすれば、「何…」と掠れた声が返ってくる
「生きとるみたいやな。ちゃんと自分の部屋で寝た方がええで?」
その言葉にひとらんらんの瞳がカッと開きそそくさと部屋を出て行ってしまった
「おーい。起きてます?」
「バレてましたか」
ムクリとグリムが起き上がる
にやにやと笑い、トントンをじっと見つめる
「いやー。本当にあれなんですね。童.貞なんですね」
「うるさ…てかグリムはもっと危機感を持つべきやって!」
その言葉に、グリムは苦笑いをこぼす
「忠告有難うございます。良ければ今夜付き合ってくれませんか?」
グリムの意味深な発言に、トントンは顔を真っ赤にさせた
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