懐かしき友 ページ3
「ん…ここは」
グリムは目を覚ます
周りを見渡すと、様々な医療器具が見える
どうやら医務室のようだ
ズキン
男との戦闘で負った傷が、痛みを全身に伝える
「いった…」
これでは逃げ出すどころか、立つこともままならない
ガラガラガラ
医務室の引き戸が開いた
「あ、もう起きたの。グリム」
顔に神と書かれた紙をつけている青年が、ニコニコしながらグリムに近づく
グリムは目を見開いて、驚きの声を上げる
「ここになんでいるの…ぺ神」
ぺ神と呼ばれた青年は、嬉しそうな声で言葉を放つ
「覚えていてくれたの?」
その問いに、グリムは涙ぐみながら話す
「忘れるわけない。だって、親友だから」
「親友。そうだね」
青年は、悲しげな声で言う
「ここはどこ」
グリムは問う
親友とあったからか、声は落ち着いていた
「我々国」
その答えにグリムは再度驚かされる
「我々国って…最近戦争しなくなった?」
青年は面白そうに笑う
「あはは!確かにね。最近は全然しなくなったかも」
「じゃあ、私は我々国に連れ去られたってこと?」
その問いにぺ神は首を横に振る
「いや…総統に連れ去られたって感じかな?」
「総統?なんでまた」
ぺ神は困った声で言った
「グリムの力は、ほかの国に狙われている。だから、ここで保護するんだよ」
グリムはその言葉に顔をしかめる
「いやだなぁ。そんな力はないのに。狙われるなんて」
「グリム。その力の大きさを、君がよく知っているはずだよ?」
グリムは悲しそうにする
顔はうつむいている
「私は…私が一体何をしたのかなぁ?」
ぽつりと、そんな言葉がグリムの口から吐き出される
弱々しい、少女の声だった
「グリムは何もしてないよ。全部、君を守れなかった俺のせい」
その言葉に、グリムは声を荒げて言う
「ぺ神のせいじゃない!ぺ神は、私のために頑張ってくれた」
涙が、グリムの瞳からこぼれる
戦場に立つものとは思えないような、人間味のある顔だった
そんな彼女を、ぺ神は抱きしめる
「うん。ありがとう。ごめんね」
「…べつに、謝らなくても」
医務室には、暖かい空気が漂う
コンコン
そんな部屋に、ノックの音が鳴る
二人は離れて、グリムは扉を開けた
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