Episode43 ページ6
「僕はスペアの機能がないわけじゃない。継承されなかっただけで、受け継ぐことができないなんて誰が言った？」
「その羽だ…俺をバカにしたあの羽が憎い…お前は失敗作だ。なのになぜ、ルシフェルに愛された！」
「愛される努力が足りないんじゃないか？そもそも、ルシフェル様はお前を気にしておられた…けど、それに気が付くのは難しい」
「そんなきれいごとを…」
「お前がわざとガブリエルのいる場所で布きれを落としたのは、思い出させるためだろう！かつてのあの事件を！」
Aの言葉でミカエルの顔がハッとする。
「僕のこの羽は…天司長の力じゃない。ルシフェル様とサンダルフォンの力だ！」
Aの言葉に全員がサンダルフォンを見る。ため息をついたサンダルフォンは自らの羽を顕現させて見せる。
「俺は今は力は持ってないよ」
「ええ！？貸せるんですか！？」
「おっと、例外があるのを忘れるな。Aだからだ」
「Aだから…？スペアってことか？」
「いや、受け入れられるほどの許容量と、それを扱うだけの実力があるという事だ。ルシフェル様のように、圧倒的な力を俺は扱えなかった…だが、Aならできる」
「け、けどよぅ…サンダルフォン、珍しいな。なんていうかよ…Aに休めって言うくせによ」
「…約束をしたのであろう」
「約束…？」
ミカエルに先を促すように視線を送る。ミカエルはAから目を離さず答える。
「できる限りの生きる努力をするように、と。こやつでは今回の事は対処できん。同時に、Aでしかできないこともある。サンダルフォンなりの譲歩だろう」
「でも何で今までやらなかったんだ？もっと早くやっておけば…」
「Aがサンダルフォン様の力を受け入れるには条件があります」
「はわ！？ルークさん！」
突然現れたルーク。何事もなかったかのようにルークは話を続ける。
「Aはサンダルフォン様の力が一時的に弱体化することを恐れていました。天司長の力をなくしたサンダルフォン様は、間違いなく弱体化するので」
「そうだったんですね…」
ルークはミカエルへと歩み寄り、膝まづく。
「ミカエル様、言われた通りやってまいりました」
「御苦労だった。貴様は各地の下位天司を統括して来い」
「わかりました」
依然にらみ合いを続けるAとアバドン。Aは攻撃を仕掛けることなく、ただただアバドンをにらみ続けるのだった。
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年4月7日 14時
