Episode82 ページ45
「本日より、我が国の復興の第一歩として我々騎士団の強化の為の指導に来てくださったAさんだ。皆、修練に励むように!」
「「はっ!」」
ノイシュに連れられて騎士団の面々の前にやってきたA。その後は初日という事もあり、スカーサハとノイシュの案内で街中を散策することになった。
「それでなA。ここの飴は格別だぞ」
「それは興味深い」
「だろう?ああ、そこの者。3つ飴をくれないか」
「よう嬢ちゃん。今日はノイシュ様もいらっしゃって…ん?もしかして、あんたノイシュ様の嫁かい?」
「は…?」
突然の展開に呆然とするA。男の言葉にスカーサハは笑いをこらえ、ノイシュは蒼白となる。
「いやぁ、うれしいねぇ。ノイシュ様がついに…ちいせぇ頃から見てたもんでよ。エルバハ様も喜んでるだろうに…」
「ち、ちょっとお待ちください。この方はAさんで…」
「おう、Aっつーのか。べっぴんだなぁ」
「ですから!騎士団の強化に来てくださったので、私の妻では…」
「なっ…そ、そうだったのか…すまねぇな、お嬢さん」
「あ、あぁ…」
先ほどの表情とは打って変わり、落ち込んだ表情となる男。あまりの変わりようにAとノイシュは顔を見合わせる。
「…すまねぇな。ほら、飴だよ」
「あ、あぁ…ありがとう」
飴を受け取り、口に含む。果実の甘酸っぱい香りが鼻に広がり、やがて甘みが絶妙に口の中に広がる。
「…なあ、先ほどはどうしてあんなに喜んだんだ?僕は確かにノイシュの妻でもないけど、そこまで落ち込まれると心配になる」
「あぁ…いや、な…」
「話してみよ。こう見えてAは経験豊富だぞ」
「おいスカーサハ。お前の招待をバラしてもいいんだぞ」
「なっ…それは困るぞ」
「こらこら、二人とも…ご主人、まだしばらく私は結婚のご挨拶には参れませんが、必ずやこの国の復興は成し遂げますから」
「…ああ、そうだな。俺の息子も…」
「…?」
Aの表情が鋭く何かを捉える。
「ご主人、息子がどうしたんだ?」
「あ、いや…」
「話してほしい」
「…あの…いや、もう既にわかっちゃいるんですが…少し前の騒ぎで黒い化け物が出たあたりから行方不明で…」
「…もしや、幽世の連中の」
「いや、詳しいことは知らないんですが…あの日、騎士様とともに戦うと言って飛び出したっきりでして…」
「…ノイシュ、その話は聞いたことあるか?」
「は、はい…ですが、騎士団の誰もその肩を見た者がおらず…」
「…」
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月7日 14時