〜四騎士と天司８〜 ページ8
ジャックと相談をするが、ジャックを呼ぶ声にすまなさそうに離脱する。それを見計らったように若い料理人がAに箱を渡す。
「裏にあるワインを持ってきてちょうだい。急がないとお客さんに迷惑をかけちゃうから。よろしくね〜」
「…わかりました」
場の雰囲気を壊さぬよう、何よりホールで人間との初めての仕事をするサンダルフォンに迷惑をかけないように愛想よくする。若い料理人は、その態度が気に食わなかったのか舌打ちをするが、Aは構わずワインセラーへと向かう。
「…いや、ふつう店に来て１日のやつに頼むものではないな」
高級ワインの多くあるセラーでAは自嘲気味に笑う。
「僕が知識がないと思ってやったんだろうが…あいにく酒豪がうちの友人にはいるのでね」
ガブリエルやロゼッタ、オイゲンの顔を思い出す。愉快な仲間のことを思い出したAは自然と口元が緩む。
「これで最後…」
最後のワインを手に取り、箱に入れる。そして厨房に戻ると、いつの間にか若い料理人は厨房をほっぽってサンダルフォンにからんでいるのだった。
「ま、そのままでよろしくっと」
自分に災難がないのをいいことにAはてきぱきと仕事をこなす。そして昼の営業時間の終わった店は、いったん店を閉じる。
「それじゃ、サンダルフォン君、またね〜」
「…」
終始嫌そうな顔をするサンダルフォンにめげず、料理人は去っていく。その様子を見ていたジャックはすまなさそうによってくる。
「すみません…」
「大変な目にあった…」
「同じく…」
「なんだ、君も何か言われたのか」
「随分とね。ま、後半はサンダルフォンに行ったみたいでよかったよ」
疲れたAは椅子に座ると、ぐだっとする。サンダルフォンもこめかみを抑えつつ、ため息を吐く。
「しかし…彼女、最近入ったばっかでしたが、そこまでとは…」
「そりゃ古参の料理人も嫌がるわけだ」
「しかし、私が言うのはよくないということですし…」
「ヘルプは明日までだ。それまで僕が目立たなければ彼女も気が済むだろうさ」
平然と言い放つAだったがサンダルフォンは気に食わない様子でAを見る。
「君が無理をしてまで俺はここにいるつもりはないよ」
「んだよ…せっかく来たのに。そのうち飽きるさ」
「…何かあれば、俺は許さないからな」
「お〜こわ…せいぜい気を付けますさ」
「はぁ…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミレン(プロフ) - よせふさん» おおお！ありがとうございます！家に帰ったらすぐ取りかからせて頂きます！もし気に入っていただければまたリクエストください! (2019年4月2日 11時) (
レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
よせふ(プロフ) - はじめまして、もしよろしければルシフェル様とサンダルフォン、主人公の3人が中庭でほのぼのしているお話が見たいです…！二人と仲良しな主人公が見たいです！ぜひ！！ご検討ください！！ (2019年4月2日 1時) (レス) id: f12f54b1ee (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 大真面目にコメントください (2019年4月2日 0時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月29日 23時
