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Episode24 ページ37

「…命を懸けて、不器用なりに頑張る人間は美しい。だが、その場その場の感情に流され、己のみの都合のいい信条を振りかざす奴は大嫌いだ!」

Aの怒声に空気が重苦しくなる。その空気を変えたのは、一人の男だった。

「でもさ…A」
「…?」
「時々、失敗することだって、人間はあるんだ…俺だって、ジークフリートさんを疑った。ランちゃんだって…だから、許してやってくれないか?」
「…ヴェイン」

痛む部分を抑えつつ、起き上がる。団員とAの間に立ち、Aに向き直る。

「どうか…この通りだ。俺だって、ジークフリートさんの悪口は許せない…けど、まだ事情のわからないコイツらは…仕方ないって思うんだ」
「…それが、仲間を危険にさらすとしてもか?」
「そしたら俺とランちゃんが守る」
「…」

ヴェインの言葉に、団員の顔が後悔に満ちていく。いつの間にか魔道弓は消え去り、Aはため息を吐く。

「勝手にしろ…どうかしてる」
「けど、あんたも優しいよな」
「…は?」
「だって、仲間のためにあそこまで怒れるってすごいと思うぜ」
「…ハハ」
「それに、サンダルフォンと離れた時もあったのに…俺だったら何千年も離れたら自信なくしちゃうぜ」
「天司にはそこまで時間は重要じゃない。もういいだろう…ヴェイン、お前がそこまで仲間を信じるというなら、見せろ」
「え…見せろって」

ヴェインの目の前に青色の槍を突きつける。一瞬驚いたようだが、すぐに理解する。

「お前が仲間を率いてランスロットとパーシヴァルの援護に行け。陽動をやってるはずだ。一国の騎士団の想い、忠誠を見せて見ろ」
「おっしゃー!やってやろうぜ、みんな!」
「「おー!!」」

盛り上がる騎士団を置いて、Aはサンダルフォンを抱えて再び歩き出す。しかし、想像以上に力の消費が激しく、少しずつ休むことが増えていく。

(クソ…顕現に体力を使いすぎた)

一瞬めまいがし、立ち止まる。壁にもたれ、呼吸を整えて再び歩き出す。南の塔についたころには、肩で息をしていた。

(長時間顕現を続けるのはしんどい…ましてや、複数。けど、今消したらアイツらが…)

ふと、段差に気が付かずにつまずく。倒れきることはなかったが、完全に膝をついてしまう。

(おかしい…なんで…)

意識が遠のいていき、背負っているサンダルフォンに押しつぶされる形で意識を失うのだった。

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ミレン(プロフ) - よせふさん» おおお!ありがとうございます!家に帰ったらすぐ取りかからせて頂きます!もし気に入っていただければまたリクエストください! (2019年4月2日 11時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
よせふ(プロフ) - はじめまして、もしよろしければルシフェル様とサンダルフォン、主人公の3人が中庭でほのぼのしているお話が見たいです…!二人と仲良しな主人公が見たいです!ぜひ!!ご検討ください!! (2019年4月2日 1時) (レス) id: f12f54b1ee (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 大真面目にコメントください (2019年4月2日 0時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月29日 23時

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