Episode22 ページ35
「…なんとか…なったみたいだ」
すさまじい破壊力によって消滅した魔物。慌ててサンダルフォンの元へ向かうと、傷口が痛々しかった。
「…誰が全空一の剣の使役者だって?」
「訂正だ。全空一の武器使いだ」
「…ナンセンス…だ」
「おい…?おい!しっかりしろ!」
気を失ったサンダルフォンを何とかして起こそうとする。しかし虚無による損傷が激しく、傷の再生が遅れる。
「…こうなったら…」
剣を取り出し、突き刺す。痛みでうめくサンダルフォンに躊躇いつつも、傷口にさらに剣を突き刺す。
「ふん…ッ…ぁ…」
「しっかりしろ…もう終わる」
剣に光の粒子をまとわせ、サンダルフォンの傷を回復させる。虚無の跡が消えていき、Aの力とサンダルフォン自身の回復力が追いつき、やがて傷が回復し始める。剣をゆっくりと抜くと、その傷口はふさがるのだった。
「…おい、大丈夫か?」
「…」
「…さすがに体力オーバーか。仕方ない」
サンダルフォンに羽織をかぶせ、背負う。そのまま先へと歩を進める。
(あの兵器、おそらく虚無の力による攻撃は有効だ。つまり、あんなのがいたら僕じゃないとまず勝てない。一応ランスロット達の武器には、すぐにわかるように仕掛けはしたけど…いざとなったら剣を媒介に瞬間移動…やってみるしかないな)
考え込みながら進んでいくと、少し開けた場所へと出る。
「…この気配、ヴェインか」
警戒しつつ進む。案の定幽世の番人はいるが、気づいていない様子。
「…けど、サンダルフォンをこのままで行くのは危ない」
考え込んでいると、大きな爆発音が響く。驚いて顔を上げるのと、幽世の番人が驚いて走り出すのは同時だった。
「…なるほど。陽動か」
急いでヴェインの牢獄へ向かい、鍵を開ける。やはり気絶しているヴェインの気配を探り、そして目を開けて確認する。
「…本物。印もつけた」
一度ゆすってみるが、起きる気配もないヴェインにため息を吐く。
「さすがに男二人を背負うのはしんどいぞ…」
ため息を吐きながらも、一度サンダルフォンを下す。ヴェインも怪我がないことを確認し、背中に背負う。
「サンダルフォンは…」
仕方なしに、いわゆるお姫様抱っこをする。目覚めたときの反応が気になるが、そんなことを気にする余裕がないのも事実であった。
「目を覚まさないのが悪いんだからな…一番苦労してんのは僕だぞ…クソ」
そのままさらに先へと進み、王を探しに行くのだった。
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ミレン(プロフ) - よせふさん» おおお!ありがとうございます!家に帰ったらすぐ取りかからせて頂きます!もし気に入っていただければまたリクエストください! (2019年4月2日 11時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
よせふ(プロフ) - はじめまして、もしよろしければルシフェル様とサンダルフォン、主人公の3人が中庭でほのぼのしているお話が見たいです…!二人と仲良しな主人公が見たいです!ぜひ!!ご検討ください!! (2019年4月2日 1時) (レス) id: f12f54b1ee (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 大真面目にコメントください (2019年4月2日 0時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月29日 23時