Episode40 ページ41
揺れとともに感じる、異様な気配にルリアの体は恐怖に支配される。無数の何かが一つにつなぎ合わさったような感覚。激しい揺れにルリアはよろけてしまい地面に膝をつく。
「…あれ？この羽って…Aさん…？」
「なに…？」
ようやく反応を示したサンダルフォンは、じっと羽をみつめる。
≪オオオォォォ！≫
突如響き渡る咆哮に、全員が外を見る。不気味な声に、不安な表情を隠し切れずにいる。脱出をしようと進むが揺れのせいで歩くこともおぼつかない。じっと考え続けるサンダルフォンにしびれを切らしたビィが声をかける。
「おい、サンダルフォン！ここを出るぞ、しっかりしろ！」
「特異点、ビィ、ルリア！」
歩行が困難を極めたとき、双子の天司、ハールートとマールートが現れる。
「皆さん、お怪我ありませんか？飛行して脱出します、私達につかまって！」
「お前達！助かったぜ、グランサイファーは――」
「なッ…！き、君はサンダルフォン！？」
サンダルフォンのオーラ、雰囲気に双子は息をのむ。そして、そこですべてを察する。
「……」
「そ、その羽は…つまり天司長様は…」
「うぅ…その…詳しい状況まではわかりませんが…」
「なんて事だ…だが、こうしてはいられない…！さぁ皆、脱出だ！グランサイファーと合流しよう！急がないと黒い化け物に潰される！」
「黒い化け物だとぉ…？とりあえず、わかったぜ！」
外に抜けると、今までの無機質な光景のカナンではなく、黒い化け物によって破壊された光景だった。カナンと天国の門は崩壊寸前であり、化け物は自らを捉えるパンデモニウムから抜け出そうともがいているようだった。なんとかグランサイファーと合流を果たすが、カナンにたどり着くまでに多くの障害が立ちふさがっていたため、運行するのもやっとの状態だった。状況を整理し、互いの再会を喜び合うが、サンダルフォンは依然、放心状態だった。怪物の正体を整理し、それが≪ルシファーの遺産≫であると結論付ける。そして、昔の叛乱の際に集められたコアの集合体であることまで推測する。
「悪趣味が過ぎるぜ、おい…今は天国の門が柵になって塞いでいるが、カナンを飛び出すのは時間の問題だな」
「オイラ、本能でわかるぜ…あいつは、今まで戦ってきたどんなヤツよりもヤベェ…なんつーか、胸騒ぎがするんだ。放っといたら、空でも神様でも殺しちまいそうっつーか…」
「止めましょう、グラン！なんとかして方法を考えないと―――」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
