Episode35 ページ36
「グラン、ルリア。ここを出る方法を探すとするか。まずはこの辺りを見て回―――」
「ウソです…」
「うん…?」
唐突なルリアの言葉に、会話が止まる。先を促そうとビィが問いかけると、ルリアはゆっくりと話し始めた。
「サンダルフォンさん…どうしてウソなんか吐いてるんですか?あなたは本当の意味で反省していません!」
「……」
殊勝な態度を見せるサンダルフォン。だがルリアは怒って彼に詰問する。
「あなたは必要とされたいのに…ルシフェルさんの役に立ちたいのに・・・ただ全てを諦めて、悩み事を放り投げて、ここに閉じこもって…それでいいんですか!?」
「蒼の少女…何が不服なのかな?災厄は君たちが阻止した。空は安寧が戻り、俺は裁かれているんだぞ?」
ルリアの言葉がわずかに心の底に残っている感情を揺さぶる。それを悟られまいと、嘲るように質問を返す。しかし、ルリアはさらに言葉を畳みかける。
「そういう…そういう事を言ってるんじゃないです!どう言えばいいのかわからないけど、このまま裁かれても何も変わらない…あなたが変わらなければ、災厄は終わらないんです!」
「…では、どうすればいいと?」
「それは…」
「俺に悩み続けろというのか?苦悩を抱えて永遠に生きればいいのか?なるほど、それも確かに罰といえる。だがそれこそ依然と何も変わらない。解決できない苦悩を忘れて、静かに暮らすことのなにが悪い?」
ふつふつと湧き上がってくる感情に蓋をするかのように、言葉を返す。
「本当に解決できないんですか…?ルシフェルさんも、Aさんもわかろうとして―――」
「国王と平民の子供が、対等に相互の心を理解できると思うか?君はわかっていない。Aはともかく、アレの見ている地平はあまりに高い…」
歩み寄ってきたAを思い出し、自らと同じか、それよりも劣悪だったAの生い立ちを思い出す。
「でも、あの時…ルシフェルさんは歩み寄りました!」
「そうだな。裕福なものが貧しいものを同情するように」
「そうして…!そんな事ない、ルシフェルさんは―――」
感情があふれ、抑えきれなくなる。
「もういいだろう!君がルシフェルの何を知っている!?」
「知りません!」
「……ッ!」
ルリアの返しは想定外で、つい面食らってしまう。だが、自分の感情を出してしまったことに悔しさを覚えることのが強かった。
43人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時