Episode32 ページ33
「うおらぁぁああ！」
「フフ…」
一撃一撃をよけられ、Aの顔に疲労が現れる。だが、執念だけでの攻撃にベリアルは当たるわけもなく、一向に勝負は決まらない。
「…ッ！？」
「おや…タイムオーバーか」
力の使い過ぎにより、元素が抜け落ちる。もともと持っている白い羽に戻ってもなお、攻撃を続ける。
「軽くなったね…この程度、そそられないよ」
「ッ！っがぁ！！」
首元をつかまれ、腹に強烈な蹴りを入れられる。意識が飛びかけたところで、もう一度蹴りが入れられた。
「簡単に落ちたら面白くない…そうだな…ん？」
そばには、羽に囲まれた浮遊体がある。
「そうか…ここにあったのか」
「…！？」
何をするのか察した瞬間に、べリアルにありったけの力を込めて反撃をし、離脱する。
「おお、まだそんな力が…君以外に絶倫？」
「……あいつの居場所は……まだある。僕だけじゃなくて…ルシフェル様がいなくても…あいつなら…」
「フハハハハ！まだそんな力があったか！」
再度顕現した羽は黒く、初めに暴走したときと変わらない。
「また君、暴走する気？」
「…ッ…ルシフェル様は…いつだって僕たちを気にかけてた…アイツは臆病だから…でも、いつか僕が出会ったように！仲間とか、友人とか…役割とかアイツにも…ッ」
「へぇ…」
遠隔攻撃を警戒したベリアルは、急接近をして一撃で決めに行く。
「…だから、もう僕がいなくてもアイツは大丈夫」
「…ッ！？」
「一緒にお望み通り行ってやるよ…空の底になっ！」
ありったけの力でべリアルに闇の鎖を巻き付け、カナンから飛び降りる。
「へぇ…元素をまとえば、確かにここでは不利だ…俺も覚悟したほうがいいな」
「…」
「泣くぐらいならやめておけばいいのに。そして…俺はこの程度じゃ死なないよ」
「…ッ！？ガハッ！」
「バイバイ、一人で楽しんでおいで」
ベリアルに突き落とされ、飛ぶ力すら残っていないAは、そのまま目を閉じるほかなかった。
「あ〜あ…早くしないとバブさんに怒られるな」
片腕の損傷個所を確認すると、闇の元素によって覆い尽くされ、回復を妨げていた。
「はぁ…自虐は趣味じゃないが…」
損傷個所の周りから切り飛ばし、回復を早める。カナンに戻ると、ボロボロになったルシフェルの姿があった。
「…あんたも、モテて羨ましいね」
首を切断し、放置する。腕は徐々に回復をし、同時に大きく世界が動く気配がした。
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
