Episode26 ページ27
光の中から現れた男に全員が驚く。
「天司長…！」
「ミカエル、ガブリエル、ウリエル、ラファエル…そして、A。ご苦労だった。君達の尽力に感謝する」
四大天司とAがルシフェルに向かい、頭を垂れる。
「ルシフェル…」
「サンダルフォン…」
互いの視線が交差する。
「すでに顕現していたのか…ではパンデモニウムが開かないのも…」
「ああ、私だ。その封印の要を抑えていた。Aから連絡があってね」
「フ、フフフ…そうか、最初から全て…俺の事など歯牙にも掛けず、ずっとパンデモニウムの監視を…フハハハハ…！貴様にとって俺は、その程度の…対峙する価値もなかったって事か！」
「そうではない。天司にはAを除いて幽世と関わることを禁じている。ゆえに私の役目だと―――」
「そうだよ、アンタは！いつだって冷静に物事を篩で選別する！無価値な者の苦悩なんかわかってない！選ばれなかった者は、奪い取るしかないだろう…！？せめて、本当に空っぽな…Aのようであれば…ッ」
「…」
「誰でもいい。たった一人でいい…誰かに、「お前が必要だ」と…誰かに「ここにいてほしい」と…わかるか？必要とされて生まれたアンタに。全ての天司に臨まれるアンタに。だったら憎まれてでも俺は…！…俺は…」
「グラン…サンダルフォンさんは…」
ルリアは、何とも言えない感情をどうしようもできずにグランの袖をつかむ。
「サンダルフォン…君が急に心を閉ざした理由は、役割を知ってしまったせいか」
「フ…幼稚と嗤いたければ嗤え」
「研究所に寄る時はいつも、私の精神は安らいでいた。役割がなければ、上下関係もない…君の…君たちの無垢な言葉が安寧だったのだ」
「…ッ！？」
「ルシフェル…様…」
「すまなかった。私は君の劣等感に甘んじていた」
「やめろッ…！そんな三文芝居が通用すると思うな！今更もう遅い！俺を憎め、滅ぼせ、罰しろ！アンタに許されたら俺の二千年間は…」
「私も同罪だ、ともに罰をうけよう。我がコアに眠れ、サンダルフォン―――」
「まって…待って！！」
「A！？」
「ルシフェル、A―――！」
光りだしたサンダルフォンにAが駆け寄る。思いがけない行動だったようで、ルシフェルも行動できず、そのまま無数の粒子となってルシフェルの羽に吸収される。
「…A。やはり、私が甘かった」
「…終わりましたか」
「あぁ。グラン、感謝する。お陰で私の麾下の暴走を止められた」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
