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Episode11 ページ12

甲板でカタリナと剣の稽古をする。

「A、私に教わるまでもないんじゃないか?」
「そんなこと…ないさ。力が戻るまでは…ねっ!」
「くっ…」

お互いに引けを取らず、体力の上回るAがやや優勢となっていた。

「…はぁ。さすがに、生身でも人間と僕が同格か」
「どういう…」
「本来、獣は人間よりはるかに強く作られているんだ。つまり、僕はいまだに人間と変わらない力しかないんだ。つきあってくれてありがとう」
「…君は、本当は何者なんだ」
「僕は星晶獣だよ。ただの、ね…」

それだけいうと、自室に戻る。思うようにいかない体にいら立ちが募る。

(ルシフェル様のせい…いやいや、そもそも僕の力は危なっかしい。心遣いだというのはわかってるけど)

いつの間にか制御されている力は、なかなか戻らない。体力が本調子になれば変わるだろうか、と考えてやめる。

(すべての天司はあの方に由来するんだ…当分は諦めるか)

翌日には叡智の殿堂についており、さっそく各々が資料を読み漁ることとなった。

「はい、これ」
「ありがとう」

司書から受け取った本を読み進めるも、内心では知っている知識ばかりである。日も超えてしまい、目がかすみだす。ふと、地下のほうから声がし、慌てていくと歴史学者の男が禁忌の書を読み漁っていた。

「ルリア?どうしたんだ、ぼんやりして」
「あ、うん…んんだか、あの棚の一番上が…」
「…あの気配は」
「棚の一番上?あのボロボロの紙束がきになるのか?」

ルリアが示した紙束を学者が手に取る。Aもその中身を眺める。

「なっ…四大元素…まさか」

読み進めるにつれ徐々に災厄の原因が浮き彫りになる。

「原初の星晶獣…?」
「覇空戦争よりはるか前…約二千年前でしょうか。星の民による占領時代の出来事です。一定の侵略を完了した星の民は、空の世界を完璧に管理するため、自律型の管理機構を造ったそうです。その被造物こそ、原初の星晶獣達。元素一つに至るまでに完璧に司るもの」
「私たちの知る星晶獣より、はるかに高位な存在なようですね…」

団員が話し合いを始めながら、Aは自らの正体を明かすか考えていた。

(ここまで核心に凝ればいずれ…いや、でも今は何が原因かわからない。ミカエルが狙われた今は特に…)
「Aさん!」
「…!?どうした!」
「上だ、一階に何かいるぞ!」

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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時

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