被験体少女はしにたいようで。【wrwrd】 (ページ33)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:320,688 hit

決行ページ33

森林の上を走る。

そういえば、城から出たのは幹部になって初めてだな。

てか、私の所属、どこなんだろう。←

公に争っても良いと言われたから、少なくとも暗殺ではない。

かと言って、銃を持っているわけでもない。

『…1番近いのは、近接かな……。』

独り言を言っていると、"あの場所"に差し掛かった。

『…オトート。』

思わず立ち止まり、木の下に下りる。

確かあの日も、国境を越えて、オトートと走っていた。

この前聞いたのだが

グルッペンいわく、

gr「自然で国境を作った方がやりやすいからな。

森林は、年によって勝手に形が変わる。

敵は、わざわざ調べてから突撃しなければいけない。

と、いうわけだ。」

だそうだ。

あの人、戦争の事となると、脳みそがやたら動くらしい。

お菓子食べてるときは、グルッペンくん(5歳)なのに。

と、1つの木が目にとまる。

……これは。

『……この木だ。』

あぁ、ここだ。

この木の上で、オトートが撃たれて……。

……あのヒロインに。

あいつ、最近はあまり動きがない。

ちょっと警戒しておこう。

あれ？

何か落ちて……。

『！』

それは

オトートのものと思われる、ダガー。

柄のところがサファイアブルーで、ゾム様のものとは少し違う。

ゆっくりとした悲しみが、私を包んだ。

『あ、任務途中だった。』

これは、持っていこう。

オトートの形見を、ナイフとは逆の手に持ち、私は木の上へ駆け上がる。

私が去った後には、凍った木々が残った。