被験体少女はしにたいようで。【wrwrd】 (ページ21)

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俺は転生とか信じてへんし、ありえないと思う。

だから、可能性はひとつ。

しんでいる彼女を生きかえらして、薬を与えた。

それしか

方法は

ない。

腹わたが煮えくりかえるかと思った。

あの王女はわざわざ生をまっとうしたというのに、なんや、この仕打ちは。

でも

どこかでかすかに喜ぶ自分がいた。

また、会えるんや。

王女さんに。

なのにいざ会ってみると、俺のことは忘れていて。

おまけに、前に実験体だったことも知られてしまった。

こいつ

まさか、記憶がないのをいいことに、スパイにされてるんじゃ…！

俺は分かっとる。

こいつは、まず間違いなくあの王女サンだ。

そして、あの王女サンはスパイなんて望まへん。

それなら

また

俺の手で

……君を。

ああ。

俺には。

「できひん」

できるわけないやんな。

こんなに愛しいと想える人を。

あー、俺、王女さんに恋しとったんか。

ったく、自分でも気付かんとか。

笑えてくるわ。

少し落ち着いたのか、彼女は話し始めた。

施設での忌々しい記憶を。

やめてーや。

やめてくれ。

俺の所為で皆が死んだ話なんて

聞きたないねん

彼女は、少なくとも12、3ぐらい。

王女だった記憶の部分は、うまく補正されていた。

彼女がエミさんに連れていかれた間に、ほかの幹部どもに質問責めにあった。

全部包み隠さず(でも恋のところは抜いて)話したら、幹部達は同情してくれた。

rb「…とりあえず、ゾムにとっても重要な人やってことやな。」

kn「でもアイツ、すぐしのうとすんで。どうするよ。」

rb「今は部屋に閉じ込めて監視するしか…。」

みんなしぶしぶだが同意し、その後はご存知の通り。

Aは、2つの術を同時に使えるみたいやった。

そんな力秘めとったら、あのサイコ集団が欲しがるわけや。

会議でも、俺は一言も話さなかった。

廊下が騒がしいから出ていってみると、Aと愉快な仲間たち。

「…俺が連れてく。」

思わず口をついて出た言葉に、俺もびっくりした。