あくまでも客室清掃員 (ページ6)

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禁止事項ページ6

エスクプスさんの言葉に首を傾げていると、「あ、そうだ」とマネージャーさんが真剣な顔で話し始める。

「事務所にいる時も、もちろん清掃業務の時もメンバーとの接触は禁止だ。今こうやってスンチョリと会わせはしたが、今後顔を合わせる機会があっても初対面のフリをすること。もし万が一プライベートで過度な接触があったと分かったら…」

「わ、分かったら…？」

「クビどころじゃすまないと思え」

初めて見るマネージャーさんの冷たい瞳に身体が硬直する。

「…はい」

思ったよりも声が出なくて届いたかどうか分からない返事をしてしまった。

「ちょっとマネヒョン！脅かしすぎですよ！」

「いや俺はAのためを思ってだな、」

「Aさん、会ったら挨拶くらいは気軽にしてくれると嬉しいです」

「おいスンチョラ、人の話を遮るなよ！」

「だってマネヒョンが…」

エスクプスさんが気を遣ってくれたおかげで、肩の力が抜けて必要以上に身構えすぎていたことに気づく。流石リーダーというべきか。

「まあとにかくそういうことだからな！じゃあ来月よろしく頼むぞ！」

何がそういうことなのか全く話はまとまっていなかったが、マネージャーさんのその一言でこの打ち合わせは解散になった。

*

その日の夜。
一人で住むには広く感じる程の設備の整った社員寮の自室で、ベッドに横になりながら昼間のことを思い出す。ここで働く前までアイドルには一切興味がなかったから、接触禁止と言われようにもそんな機会訪れるはずもないと考えてしまう。近づきたいという意思もないし、そもそも近づけるような役職の仕事をしていない。まあありえないだろうとそれ以上考えるのをやめて、最近寝る前の日課となっている『これであなたもCARAT！メンバーを覚えよう！』というメンバー紹介動画を見ながら布団に潜り込んだ。