あくまでも客室清掃員 (ページ15)

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スンチョルさんページ15

「すみません、ジスさんとホシさんに見つかってしまいました…」

エスクプスさんに先ほどの経緯と連絡先の交換をしてしまったことを自白した。きちんと故意ではないということも伝えたが、信じてもらえたかどうかは分からない。

少し考え込んだ後、「うん」と言って私をじっと見つめるエスクプスさん。

「マネヒョンはああ言ってたけど、俺はAさんともっと話してみたいって思ってたし、お世話になってるからお礼も言いたかったし、メンバーが迷惑かけないようにAさんのこと手伝ってあげられたらって思ってます」

すごく真剣に話してくれているのが表情から伝わってくる。

「このことはマネヒョンには言いません。だから…共犯ですね、俺たち」

にひ、といたずらをした子供のように笑う彼は、しっかり者のリーダーというイメージとは違っていてちょっとだけドキッとしてしまった。

「でも、申し訳ないです」

「そんな風に思うことないです。困ったことがあったら頼ってください。一人で抱えるには大変な仕事だろうから」

最年長でリーダーで色んなことを経験してきたからこその言葉なんだろうか。
その一言で胸のあたりが温かくなり、自分が気付かないうちに心細さを感じていたことを知った。

「ありがとうございます。じゃあ…お言葉に甘えて」

「はい！じゃあこれ。何かあったら連絡してください」

とスマホを差し出すエスクプスさん。
『新しい友達』の欄に"チェスンチョル"と表示された。

「あの、エスクプスさんの方が年上なので敬語使わないで大丈夫です」

「ん、分かった。じゃあ、俺も"A"って呼ぶから"スンチョル"って呼んで」

「わ、分かりました」

ジスさんにも本名で呼んでほしいと言われたし、ホシさんもタメ口がいいそうだし、セブンティーンの皆さんはフレンドリーな方が多いんだろうか。

「あ、そろそろ部屋戻りますね」

壁の向こうを確認すると先ほどいたメンバーの皆さんはいなくなっていた。
話しているうちに日付を跨いでしまったし、スンチョルさんをはやく部屋に帰して休んでもらわなければ。

「うん、おやすみ」

「おやすみなさい」

お辞儀をしてエレベーターまでの廊下を素早く進み、下降ボタンを押すとちょうどドアが開いた。ふと振り返るとこちらを見て自室の前で手を振るスンチョルさんが見えたので、また一つお辞儀をしてエレベーターに乗り込んだ。