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Nside



志を同じくする組の為
自分が出来ない、社会を変えてくれる望みを守る為

風間は、自分の信頼する相葉を送り込んだのだろう

だけど、相葉は一つ嘘を付いている

「違うだろ」

それだけじゃ、ないだろう

「え?」

過去を話して、少しは仮面の落ちた表情になっている相葉へ、俺は心からの笑顔を送った

大野さん達が驚いた様な顔をしているのが視界の端に映ったが、そんな事はどうでも良かった

やっと

昔のお前に会える

「『また会えた』から『遊ぼう』としてくれたんだろ


…まーくん」




「………どうして」

か細く、震える声

まるで幼い頃、別れ際に聞いた声の様だ

泣くまいと堪える、太陽のような声音


ごめん

俺が覚えていなくても

それでもお前は、見守っていてくれたんだな

疑われようとも、距離を取られようとも

ずっと

ずっと

「忘れてて、ごめん」



まだ小学校に入る前、彼と俺の家は隣同士だった

引きこもりがちな俺に構う事なく、彼は明るく笑って外へ連れ出してくれた

『幼馴染』という、彼の特別な立ち位置としていられる事に満足して、これからもそう在れると思っていた

引越すと聞いて、それでもまた会えると約束してくれた彼に安心して

長い時の中、いつの間にか記憶の底へと彼の存在は沈んでいた

毎日のように見ていた夢

必死に出てこようとする彼の存在に、俺はやっと手を伸ばすことが出来た



瞳を潤ませ、力無く首を横に振っている

「約束、守ろうとしてくれたんだろ」

「そんな…」

「ごめんな、忘れてて」

「思い出さなくても、良かったのに…」

彼が、地獄の中で持ち続けた記憶に、俺はいた

「ずっと、ずっと縋ってた…
それしか、希望が無かったから…」

「うん」

「忘れてるって、分かってたけど…」

「うん」

「でも、会えて嬉しかったの…」

「うん」

拙い言葉

ほろりと頬を伝う、彼の涙

この世のものとは思えないほど澄んでいて、美しい

身を乗り出して頬に手を添え、そっとその雫を拭ってやった

すると、突然立ち上がった大野さんが、相葉の背後から腕を回し、ぎゅっと抱き締めた

「え?」

狼狽える彼に構わず、翔さんが大野さんごと二人を抱き込んだ

「え、え?」

潤くんが立ち上がり、相葉の腰に手を回した

その光景に微笑んで、俺はそのまま彼に抱き着いた

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crow - Finalの相葉ちゃんに大興奮!! 色々な名言が生まれたイイお話でした。 (11月21日 0時) (レス) @page17 id: 437ea3d9a6 (このIDを非表示/違反報告)
crow - Finalの相葉ちゃんに大興奮 (4月24日 0時) (レス) @page18 id: 437ea3d9a6 (このIDを非表示/違反報告)
エリン(プロフ) - ちぇろさん» ちぇろ様、コメントありがとうございます!一気に読んでいただいたと言う事で、感激です…!番外編の方もどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年3月6日 22時) (レス) id: befc5e26fa (このIDを非表示/違反報告)
エリン(プロフ) - 櫻宮さん» 櫻宮様、ここまでお付き合い下さりありがとうございました!櫻宮様のコメントに何度励まされた事か…!ありがとうございました! (2021年3月6日 22時) (レス) id: befc5e26fa (このIDを非表示/違反報告)
ちぇろ(プロフ) - おすすめに出てきたことをきっかけに読ませていただきました。ここまで一気に読み切り、楽しませていただきました。ありがとうございます。大好きです!番外編も楽しみに読ませていただきます。 (2021年3月3日 17時) (レス) id: 84d56b057b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エリン | 作成日時:2020年9月19日 11時

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