手のひらの上でサンバを踊るな【2nd】

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「というか！そんなこと言ったら燐音くんもじゃないっすか！」
「は？」
「最近何かの情報集めて回ってるっすよね？ふふん！僕は気づいてましたからね〜！」




ドヤ顔でそう告げるニキに、燐音は「嗚呼」と納得する。
そういえば目の前のこの男は頭は悪いが、人の心の動きに良くも悪くも気づきすぎるということを今思い出した。


「(まぁ、こいつのそういうところに俺もそのアイドルちゃんも救われたンだろうけど……よりにもよって面倒なタイミングで気づきやがって)」
「？？」


今年の夏自分がする事をこいつに話すべきか。いや話さない方がいいだろうな確実に。
……でも、少しぐらいなら。



「ESに利用できそうなやつが入ったんだよ。ホシミ？とか言う新人プロデューサーでなァ……あれは絶対利用できるっしょ」
「うっわ、悪の大魔王みたいな顔……って！ノールックで殴りかかんないでほしいっす！」



燐音の拳───確か本人は天照大神拳とか呼んでいた───から新メニュー考案ノートを死守しながら、ニキは心中でそっと顔も知らぬ星見のプロデューサーに合掌する。



「(うへぇ、燐音くんに目をつけられるとか可哀想……あの子には火の粉が降りかからないといいんすけど)」







＊






『ぶえぇｯｯｯｯぐしゅｯｯｯｯ！！！！っあ゛〜、風邪かな』
「Aお前……この前とくしゃみの威力違くね？天祥院先輩と一緒にいたときはもうちょい大人しめのくしゃみしてたよな？」
『英智さんいないのにかわいこぶる必要なくないですか？？』
「か、可愛くねぇ〜〜〜！！」




同時刻、スタプロ事務所にて。
あるプロデューサーが佐賀美陣の如きくしゃみをしたのはまた別のお話。

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