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ページ17

「僕さ、その旅人くらい強くなるよ」


「…うん」


「そしたらさ、戦争が終わっても君を守っていけると思うんだ」



「え、」



「まあ、単純に抵抗軍のためにも、自分のためにも旅人に追いつけたらいいなとは思ってるんだけど、やっぱり僕の隣には君にいて欲しい」




哲平の黒い髪がそよ風に揺れる。




「僕が強くなったら、君を迎えに行くよ。その時は…もしよかったら……君を僕のお嫁さんにさせてよ」




突然の哲平の告白に眠気でふわふわした頭がついていけない。


ただ、ひとつわけも分からない嬉しい感情が心いっぱいに広がる。




「…もちろん、待ってるよ。必ず迎えに来てね」




そう哲平に目一杯の感謝を込めて微笑むと




「………っ嬉しい!ありがとう!!」




と、よりぎゅっと強く抱きしめられた。









目狩り令が取り消された後。

海祇島には2つのお墓が建てられた。

1人は前線で抗い、戦った勇敢な兵士のもの。

もう1人は結核を患いながらも最期まで抵抗軍の後方支援を全うした兵士のもの。

そのお墓の前にはひとつの隊服と何輪ものキキョウが咲いていた。


キキョウの花言葉は「変わらぬ愛」




「哲平は天国でAさんと結婚できたかな?」


「もちろん!オイラたちにもしつこいくらいにAのこと自慢してたんだぞ?哲平だったら絶対に幸せにしてあげてると思うぞ!」



「うん、そうだね……哲平、こっちでは相棒相棒って自分たち事ばっかり構ってたんだから、そっちでは十分にAさんを幸せにしてあげてね」


「さすがにAでも嫉妬しちゃってたと思うぞ!」





『うん、実は嫉妬してた』


『…うん、ごめんね。寂しい思いをさせたね、ここではずーっと一緒だからね』


『ありがとうね、哲平』


『うんん、こちらこそ』



海祇島では変わらず心地良い風が流れている。その崖の上で2人が仲良く風に吹かれている姿が見えたような気がした。

作者の独り言→←そよ風と黒髪◈哲平



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作者名:たろ | 作成日時:2022年9月22日 20時

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