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神と人◈鍾離 ページ14

往生堂の談話室に人と神の姿がひとつずつ。
酷くゆっくりと流れる時間の中で俺たちは各々の時を過ごす。

「鍾離先生ー」

「なんだ?」

沈黙の空気を少し裂き彼女が声をあげた。


「私がもしこの世界からいなくなったらどうする?」



そうソファーの隣で愛しい人はそんなことを呟く



「…なんで急にそんなことを聞くんだ?」



「えへ、ちょっと気になっただけ」



そう言って少し勢いをつけて立ち上がると台所の方へ姿を消した。


「ココアいれるね、先生はどうする?」


「じゃあ同じものを頼む」


台所の見えないところから小さく声が響いてくる。



この小さな人はどんな風に自分の人生を考えているのだろうか。


なんのために生きていると思っているのだろうか。


「はい、先生」


「俺はお前がいなくなった世界でも生きねばならない」


ココアを受け取りながら、彼女の目を見てはっきりと言う。


「だがな、お前がいなくなる、いなくならない以前に俺はお前を離す気は微塵もないぞ?」


ココアを受け渡す彼女の手を握る、どこにも行かないように、俺から離れていかないように。


「せんせ、」


「どうした?何故泣く」


彼女の美しい目から宝石と見間違うような綺麗な雫がぽろぽろと落ちていく。


「俺は契約のこと、この国のことなら何でも知っているが…お前の事となると知らないことが沢山あるな」


俺はその雫を指でひとつひとつ拾い上げる。
彼女の頬に触れる度に愛おしさが溢れる。

寿命の違いなど、種族の違いなど。
俺にとってはどうにでもできるのだ。

だから、お前にはずっと隣で


「ずっと隣で笑っていてくれないか?」


彼女はやはり花の咲くような笑顔が1番似合う。




「お前には無理をさせたな、今日は一緒に寝るか?」


「え、え?ちょ、それは…先生、早いんじゃ…」


「?」


まだまだ凡民に馴染むには知るべきことが沢山ありそうだ。

看病と温もり◈タルタリヤ→←続



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作者名:たろ | 作成日時:2022年9月22日 20時

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