phase9 ページ10
*
隣室のドアが開く音でAは目覚めた
ベッドの下では金ちゃん(←宴会後こちらで統一)が丸まって寝ている
いつ宴会から戻ってきたのだろうか?
寝息が少しだけアルコール臭い
換気のため、窓を開けようとするとピクッと揺れるたてがみ
ムクッと起きた金ちゃんがドアを開けて尾をクイッと振った
まるで己について来いというように
*
のしのし階段を降りて行く金ちゃん
トコトコ後を追うA
拠点での散歩は光遮る地下まで続いた
暗がりの中、金色に光る金ちゃんの輪郭だけを頼りに更に奥へ
突き当りには鉄製の頑丈な扉があった
上部には鉄格子がついた監視窓がついている
金ちゃんはそこで脚を止めた
「 ? 」
金ちゃんの謎の行動への好奇心
監視窓を覗こうとAが背伸びしたとたん、
「 やあ、お嬢さん 」
「 !! 」
穏やかな声が聞こえてきた
驚きで目を見開くAに、更に聞こえてくる男の声
「 ああ、驚かせて申し訳ないですね
この場所に相応しくない方がいらしたので、
つい僕のほうから声をかけてしまいました 」
声同様、穏やかな笑顔をむけてきたのは、理知的な雰囲気の青年だった
ルプス達、ROWDY SHOGUNのメンバーと同年代に見える
「 君は…ここの住人の縁者でしょうか? 」
カチャリ…
青年が話し続ける中
金ちゃんが前脚の肉球でドアノブに触れると、電子ロックが解除され扉が開いた
「 ほう、これはまた獰猛なペットを連れていますね 」
金ちゃんの姿を見ても、驚きも怖がりもしない
視えている!!
その事実にAが驚いた
「 質問を訂正します
君は…誰なのですか? 」
言えぬAはDPDを起動させようか迷った
会話すべきか? 呼ぶべきか?
右人差し指がアイコンを触れようとした瞬間
「 盗っ人には関係ない 」
Aを右手ごと引き寄せ、自身の背に隠すルプスがいた
洗い髪のままのTシャツ・スェット姿
くつろいだ姿とは正反対の鋭い眼差し
「 なるほどね 」
不敵な笑みで得心する
そこには囚われ人ではない
怪盗団MAD JESTERSの司令塔・シャーロックの姿があった
*
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作者名:姫保 | 作成日時:2021年7月29日 10時