phase20 ページ21
*
ルプスとAは金ちゃんの電池切れ状態を知らず、
金色の球体が消えるのを呆然と見ていた
「?」×2
お互いに目を合わせた後、首をかしげる
そのタイミングが同時で、非常事態なのに思わず笑いがこぼれる
和んだ空気のあと、くるんとつむじ風が舞い道路の瓦礫を転がした
それが何度も繰り返されている
「中に入りましょう。このビルは安全です」
そう言いながらも、ルプスはマズいな、と感じていた
多分、自身が
第二波が発生する日だと直感したからだ
先程から続くつむじ風がそれを暗示していた
この建物は、将来のROWDY SHOGUNの拠点になるビルだから倒壊することはないだろう
だが、
大嵐のショックで声を失ったAに再び辛い経験をさせてしまう
Aの心が傷ついてしまうのでは?
それが気がかりだった
二階へ続く階段に抱えていたAを下ろし、自分も隣に座る
ルプスはAに尋ねた
「今、俺達が置かれている状況が解かりますか?」
DPDが起動しない世界
ホットラインで意思疎通できない
Aの表情を
一瞬の揺らぎさえも逃さないよう、ルプスは真っすぐ捉え見つめた
「・・・・・」
「え?」
『ゴネンマエ』
Aの唇がそう動いたように見えた
「五年前って言いましたか?」
Aもルプスを真っすぐ見つめ頷いた
そして
「・・・」
『コワイ』
唇が微かに震え色を失くす
Aの怯えた様子に、第二波到来を伝えるべきか一瞬ためらうルプス
が、
ガタン!!
突如、ビルが揺れた
二人の思いを無視した厄災が再び襲いかかる
「こちらへ!!」
Aの肩を抱え、地下へ逃げ込み最奥の部屋へ入り扉を閉める
プロテクトを発動した体でAを抱きしめた
腕の中でこわばる背中をあやすそうにポンポン叩く
「この身を引きかえてでも貴女を護ります」
もし、出会っていたのが五年前だったら
己の異能が発現したときだったら
己の異能で護っていたとしたら
腕の中の少女は声を失わなかったのだうか?
違う未来を生きていたのだろうか?
ルプスは気づいているのだろうか?
湧き上がった想いの名前を
震える体を抱きしめながら歌う
Aの耳に嵐が届かぬよう祈りながら
♪And I…
もしも 世界を変えられるのなら…
*
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作者名:姫保 | 作成日時:2021年7月29日 10時