phase2 ページ3
*
「 なんで俺が… 」
「 それコッチのセリフ 」
「 不本意ながら私もなんですよ 」
警護以外の仕事に初めて駆り出されたルプスとベイリーは不満タラタラ
こうなることを予測できたキサラギは控えめながら毒を吐く
冷静なルプスがこんな文句を言うのは珍しい
気がかりなことがあるのだろう
その存在は現在、ROWDY SHOGUNの拠点の地下にいる
リーダー二人が昨夜の死闘で満身創痍のため、自分たちを指名したのだろか?
代理をたてるしかないとはいえ、適任者は他にもいる
マダムの真意はいまだわからずじまいだ
「 言っておきますが、
その顔と台詞、ホテルに入る前に引っ込めてくださいね 」
「 うっ!!…はい 」×2
口元だけ微笑んだキサラギ
しかし目は全く笑っていない
上品な物腰で言われたら、おとなしく従うしかないルプスとベイリー
「 さあ、行きましょう 」
ホテルの支配人に案内され、最上階のペントハウス専用のエレベーターに乗り込む
エレベーターのドアが開く瞬間、顔つきがガラリと変わった
依頼人を警護するときの冷静沈着なものに
心の内を悟られないように
――― 流石です ―――
後に続く二人にキサラギの褒め言葉は届かなかった
*
豪奢なゲストルームに通され、マダムが来るのを待つ
その間にメイドが紅茶やら菓子やらを置いていく
「 俺らには不似合いだな 」
ベイリーが三段重ねのケーキスタンドをつつきながら言う
「 果物も焼き菓子もコピー品ではありませんね 」
優雅に紅茶を飲むキサラギも感心した
コピーでもそん色なく一流の味が楽しめる時代
あくまで本物にこだわる姿勢
これが富裕層のプライドなのだろう
「 居心地が悪い 」
静かに座っていたルプスが口を開いた直後、
カチャリとドアが開く音がして
「 待たせたわね。報酬よ、受け取って 」
テーブルにマダムが小切手を置いた
三人はそれを見て驚きの表情を浮かべる
「 これはどういうことでしょうか? 」
最初に言葉を発したのはキサラギ
本日の訪問は昨夜の報酬を受け取ること
怪盗MAD JESTERSからブラックダイアモンドを守り、そのメンバーを生きたまま確保すること
その一件の報酬のはず
なのに…
「 なぜ二枚なのですか? 」
一枚目の小切手
それには契約書通りの金額が書かれており、
二枚目の小切手
そこには…
*
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作者名:姫保 | 作成日時:2021年7月29日 10時