僕の後輩は鬱陶しい【kwmr】 (ページ18)

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大嫌いな後輩ページ18

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「河村さんって、立華さんのこと、好きなんですか」
「はぁ？あいつのどこに好きになる要素があるのさ」

　しずくさんと恋人もどきの関係になって、少し時間がたった頃。
　言葉にしていないので可笑しくないと言えば可笑しくないのだが、明らかにしずくさんとの距離が近くなっても、あの後輩は一向に俺に対するストーキング行為をやめなかった。

　しずくさんと会話していようが、奴は「先輩！ココアとオレンジジュースどっちが良いですか！」と意味のわからない二択を突きつけてくるし、なんか寧ろしずくさんと親しくなってるし、本当に行動が読めない。

　そんな中、コンビニのお弁当を頬張っていた彼女に聞かれた。立華のことが好きなのか、と。

「 ……逆だよ、逆」
「逆、ですか」
「多分この世で、俺はあいつが一番嫌い」

　心の中の蟠りを吐き出すように、そう言葉を溢す。

　周りの人らはたまに俺の立華に対する言動を『照れ隠し』のように言ってくるが、全く違う。
　本気で俺はあいつが嫌いだ。
　誰にでも笑顔を振り撒くとことか、他人の領域にズケズケ踏み込んでくるとことか、強引なとことか、そういうのを全部ひっくるめて、ウザい。

　そうは言っても、なかなか真面目に取り合ってもらえないのだが。

「君も、ほんとは好きなんでしょ、なんて思う？」
「 ……いえ。心から嫌いなんだなと思います」
「そう」
「でも、それと同じくらい、好きだったりするのかな、とも…… 」

　すみません余計なこと言いました、と言って彼女は弁当を食べ進める。
　……嫌いという感情と同じくらい、好き、ね。

　だとしたら、相当ひねくれてる奴だけどな、俺。

「先輩せんぱーい！デザート買ってきましたー！！！！」
「要らないしうるさい。お前の喉はどうなってんの？」
「そう言うと思ってちゃんとバニラも買ってきたんですよ！！」
「お前は誰と話してんの？」

　折角落ち着いた昼食を取れていたと思ったらこれだ。
　やはり俺はあいつが嫌いだ。そもそも、うるさい存在自体嫌いなのだ、俺は。伊沢達は別として。

　結局問答無用でスーパーカップバニラ味を俺のデスクに置いた立華は、突き返す前にささっとどこかへ消えていく。
　残ったスーパーカップ。このまま廃棄するのも憚られて、仕方なく手をつける。

　こういう中途半端な自分も、あいつと同じくらい嫌いだ。

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