僕の後輩は鬱陶しい【kwmr】 (ページ2)

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職業は背中警備員ページ2

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　その日は完璧な朝だった。

　天候も俺に合わせてくれたんじゃないかというくらい丁度良い湿度と温度。
　テレビでも星座占いで一位を獲得。
　乗ってきた電車ではいつもは座れない座席をゲット。
　その座席をお年寄りに譲ればお礼にお高いバームクーヘンも貰えた。
　

　そう。本当に完璧だったのだ。
　―――玄関からあの女の声が聞こえてくるまでは。

「先輩先輩せんぱーい！！」
「うるさい黙って」
「抹茶フラペチーノとバニラクリームフラペチーノがあるんですけどどっちが良いですか？！？」
「コーヒー」
「やっぱバニラですよね！！はいどーぞ！！！」
「お前耳ある？」

　朝っぱらからスタバに寄ってカップを二つ持ってきた俺の後輩は、折角の完璧な朝をぶち壊したにも関わらず、無神経にも煩いウザい鬱陶しいの三コンボをかましてくる。

　こいつの話の聞かなさはいつだって異常だ。
　そんなんだから自分の声量がバグってることにも気づかないんだよ、と言ったところで、それさえもこいつは聞いていないだろう。

　人の話も聞かず、俺とパソコンの間に体をねじ込んできたこの女の名は立華A。
　俺よりも後にこのQuizKnockにやってきたので〝先輩〟と慕われるのはまだ理解できるのだが、ここまで好かれるのは意味がわからない。

「そうそう先輩！昨日先輩が私に「お・ね・が・い♡ 」してくれた仕事、きっちりやってきましたよ！！」
「そう。お前の妄想力は天下一品だね。頭捻り潰して良い？」
「先輩になら喜んで！」
「やっぱキモいからやめとく。それと、仕事はありがとう。助かった」

　なのにこの頭のいっている女、仕事〝だけ〟は兎に角出来る。
　大学に入ったばかりとは思えないほどテキパキと動き回り、先輩にも負けず劣らずのタスクをこなし、それに加えて俺へのストーカーもやめない。

　まぁ、ストーカーと言っても、付きまとってくるのは会社内だけでだが。
　本人はそんな自分のことを俺の【背中警備員】と自称している。

「ふっくらさーん！先輩がお礼言ってくれたー！！」
「うんうん、良かったねぇ。取り敢えずその動き気持ち悪いから早急にやめてね」

　ついでに、あの女は俺がお礼を言っただけだというだけで、わざわざ福良の前まで行って気持ち悪い踊りを披露し始める。

　……ほんと、なんなんだあいつ。

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