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選率先生は蛙吹さんに肩を貸してもらいながら、歩いた。
そして真っ直ぐ前を見つめて、僕を見ずに言った。
「ほんまはあんな指示を出しとうなかったんや」
「それはなんでですか？」
「…俺は、君らに銃を持って欲しくはなかったんや。
まだヒーローの卵に、こんな破壊の象徴を持たせとうなかった。
武器で守る平和なんてなぁんの信頼もあらへん。
それなら自分の力だけで守った方がよっぽどええ。
……自分で制御できる力の方が」
痛ましいほど悲しげな声色の先生。
この時、僕はどうしようもない胸騒ぎを感じた。
「な、なぁ先生」
「うん？どうしたん？実くん」
「先生は戦闘慣れしてないんですよね？ならなんで銃なんか…」
選率先生はピタリと足を止めた。
綺麗な蜂蜜のような琥珀色の目が、今だけはとても甘ったるく見えた。
「ふふっ。なぁいしょ」
先程の悲しみが嘘かのように、先生は笑って言った。
さぁて、切り替えなあかん。
先生はそう言うとこちらを見ずに銃を無造作に僕らへ向けた。
パァンっ！
放たれた銃弾は後ろに居た敵へ命中した。
「ぎゃぁ！？」
「んなななななな！？」
「え、えぇ！？せ、先生！？」
「オールマイトはんの打ち漏らしやろうか？
まぁええわ。ふふっ。背後から奇襲かけようなんてえげつないことしはるねぇ」
当たるはずが無かった。
後ろを確認すると敵が肩を抑えて後退している所だった。
パァンっ！
先生はまた適当に打った。
今度は足にあたり敵はそのまま倒れた。
「殺してへんよ？殺してへん。
動かれるんと困るから動かへんようにしたわ」
「あ！相澤先生に当たったらどうするんですか！？」
「うん？当たらへんよ？
ふふっ。今度は個性を使ったで？」
先生はいたずらっ子のように目をキラキラとさせて言った。
大人っぽかったり子供っぽかったり忙しい先生だな…！
「選率先生、お茶目なのね」
「ふふっ。褒めてくれるん？」
褒めてないわ、という蛙吹さんの一蹴にも先生はニコニコと笑ってた。
そして先生は蛙吹さんの方から手を離した。
「ここまでで十分や。梅雨ちゃんおおきにな。
さぁ。はよ避難しぃ。俺はここでオールマイトはんの援護をするさかいに」
相澤くん落とさへんようおきばり。
先生はそう言うとオールマイトの方へ向き直った。
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鯱の助(プロフ) - 京美人に釣られて一気読みしてコロリと落ちました…べらぼうに好きです。だいぶ前の更新で止まっているので旬が過ぎてしまったのかもしれないと思いつつ、読みたいという一心で更新が来るよう祈っています…失礼しました。 (2021年10月25日 3時) (
レス) id: 6ff457e429 (このIDを非表示/違反報告)
セイラ(プロフ) - 主人公が好みすぎて最高です(笑 大変だとは思いますがこれからも頑張ってください！応援しています！！ (2020年4月26日 5時) (レス) id: 5ca5505410 (このIDを非表示/違反報告)
はす(プロフ) - 続きが気になり過ぎて……更新頑張って下さい！！！ (2020年3月30日 0時) (レス) id: ea36bea7ab (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - これをみて下さっていることを祈っています。本当に面白くて、何度も読んでいます。ご事情も色々とあると思いますが、いつか更新を再開してくださると嬉しいです。 (2020年2月11日 11時) (レス) id: 595b98bf42 (このIDを非表示/違反報告)
アイウ - 更新待ってます！無理をしない程度に！できれば早く！(言動の不一致) (2019年9月23日 7時) (レス) id: 5fd2a8746a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひねのみ | 作成日時：2018年11月26日 15時
