▼.きっとそれは熱情 / レオナ ページ3
すうすうと寝入っているのを確認して、その丸くて小さい耳をまじまじと見つめる。
生えた毛は見るからにふわふわで、触り心地が良さそうなのに、そうっと指先を近づければ、耳は避けるようにぴたんと倒れていくから面白い。
何度かそれを繰り返して、思わず口許が緩む。
今度はゆっくりと内側を撫でてみることにする。耳の内側にはうすらと血管が見えていて、少し猫の耳に似ている。まあライオンは猫科だし、当然ではあるけれど。
親指と人差し指で耳を挟んでみる。薄い皮膚はそれでも温かくて____ああそうだ、これは。
「……ラグ……」
無意識のうちに口から声がこぼれる。と、同時に、私の手首は大きな手に掴まれた。
……あ。
「……何してんだ」
「…………。
……レオナさんの耳を、触ってました……」
手と耳と声の持ち主の方へとそろりと視線を向ければ、寝起き特有の不機嫌の色を滲ませた瞳とばっちり目があって、思わずひ、と声が漏れる。
あくびを噛み殺しながら体を起き上がらせたレオナさんはギロリと私を睨んで、そして目を伏せると呆れたような馬鹿にしたようなため息をついた。
「えぇと、すみません、目の前にケモモミがあったから、逆らえなくて。
あの、アニマルセラピーっていうんですかね、すっごくふわふわでもふもふで、気持ちよかったです!」
私がそう言い訳に近い感想を述べると、レオナさんは口角を片方だけ上げて笑う。どうやらそんなに怒ってない……のかな。
そう察して、私はめちゃくちゃ安堵して口許が緩み、……それが私の誤算だった。
「言いたいことはそれだけか」
「……へ、ひ!?」
目にも止まらぬ速さで伸ばされたレオナさんの手によって私の顎は捕まり、頬にはレオナさんの爪が食い込んでいてちょっと痛い。
持ち上げられた顎を下げることも叶わず、見下ろすレオナさんの視線を嫌でも感じて、背筋に汗が伝う。
「てめぇ、人様の耳を勝手に触って許されるとでも思ったのか」
「ひ、ぃいつから起きてたんですか」
「あ?
はじめからに決まってんだろ」
気付いてたのか……!!
さっきの笑みはどこへやら、真顔でこちらを見下ろしてくる様はすごい……凄みがある。その目が怖い、のに逸らせないのは、なぜ。
多分、私は怯えた顔をしていて、それを見て満足したのかレオナさんは鼻で笑った。
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硝子屋(プロフ) - 食パンさん» リクエストありがとうございます。ゆっくり更新になるとは思いますが、気長にお待ちくださると幸いです。 (7月11日 23時) (レス) id: bfedb6e9a1 (このIDを非表示/違反報告)
食パン(プロフ) - あのぉ趣味でやってるなら申し訳ないのですが厚かましいお願いです。レズで元の世界に彼女もちの監督生夢主と、本気で夢主を墜とすつもりでいるルクハンをお願いしたいです!※夢主は彼女から離れるつもりはないあと夢主は女の子。これからもほどほどに頑張ってください (7月10日 18時) (レス) id: 1be4b3aa35 (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - ハイドさん» 返信遅くなって大変申し訳ありません……!リクありがとうございます、承りました!ただ、私情によりこれから先更新できる頻度が少なくなってしまいますので、気長にお待ちくださると幸いです……。 (2021年2月2日 20時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
ハイド - 初めまして!リクエスト良いですか?キャラに盛る毒を夢主が奪って飲み込んだらをお願いします!キャラはフロイドでお願いします! (2021年1月31日 11時) (レス) id: 76fb91e4e9 (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - ソーダさん» ありがとうございます〜〜!そう言っていただけるのが何より嬉しいです……! (2020年12月24日 18時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:硝子屋 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月2日 16時