再会 -2 ページ2
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3年ほど前のこと。
通っていた女学校に、鬼が出たことがあった。
鬼。
私の家は藤のご紋を掲げていることもあり、鬼というものについて多少なりとも知識はある。
鬼が出たと騒ぎになったのはちょうど、講堂で、幼い学級の子たちと歌の練習をしていたとき。
校舎から離れていたせいで気づくのが遅れ、外に出ることもかなわず、まず椅子や書棚を動かして、どうしようもなく籠城することとした。
子どもたちが震えて泣き始める。
『……落ち着きなさい。私の後ろから出てはなりませんよ。』
「お姉様、こわい、」
『大丈夫。きっとすぐ、鬼狩り様が―――、』
けれど、鬼はとうとう、この講堂に気づいてしまったようで、木製の扉を爪でかくような音が聞こえた。
―――バリバリッ……
『―――ダメだわ、このままでは破られてしまう……。』
一番幼い子供はまだ8歳そこそこ。
かくなるうえは、私が囮になるしかない。
そうでもしなければここで全員失われてしまう。
机の下の戸や書棚に幼い子たちを隠し、ひとり講堂の真ん中に立ち、指を組んだ。
―――鬼狩り様、―――
その瞬間、講堂の木製の扉は破られ、もんどりうって鬼が転がり込んだ。
『ッ……!』
悲鳴を上げれば子どもたちが出てきてしまうやもしれぬ。
私は着物を噛み、両手で口を押えた。
こらえども涙は出る。
―――ここで死ぬ。お母さま、お父さま、せめてわたくしの血肉で鬼の腹が存分にふくれますよう、お力を貸してくださいませ。
目の前にまで来た鬼が、その爪を振りかぶった。
「もう大丈夫だ。」
そして次に目を開いたとき、私はその視界にひらめく羽織を見たのだ。
そしてはらはらと散っていく鬼のすがたを。
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瑞姫(プロフ) - 今吐露2でリアルに泣いております、、思わずよくわからない報告コメント申し訳ないですめちゃくちゃ好きですこの作品 (2020年6月24日 23時) (レス) id: 445b4986a2 (このIDを非表示/違反報告)
pink0223xxx(プロフ) - はじめまして、更新お疲れ様です。素敵な言葉遣いや雰囲気が想像がしやすくてどんどん引き込まれていきました。泣いたり笑ったり楽しかったです。応援してます! (2020年6月3日 21時) (レス) id: 086d84223c (このIDを非表示/違反報告)
おんたま(プロフ) - はじめまして。更新お疲れさまです。完成度が高くすごく素敵な作品だと思います。無理のない範囲で更新頑張ってください。応援しています。 (2020年6月3日 2時) (レス) id: 8f0607afea (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - お返事できてないお三方、コメント返信できてなくてすみません、いつも更新遅くてすみません、読んでくれてありがとうございますloveです (2020年6月2日 19時) (レス) id: 100d291aa9 (このIDを非表示/違反報告)
madoka(プロフ) - 更新お疲れ様です!ずっと待ってました〜っ!!これからも頑張ってください。 (2020年5月24日 21時) (レス) id: f3e815359c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イトカワ | 作成日時:2020年4月19日 22時