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琵琶女 ページ33

***


ーーーべん。

はた、と気づくと迷路屋敷の座敷でぐでんと伸びていた。
せっかく気持ちよく寝ていたのに。
もうそんな時期か、と私は目の前に置かれている血液の瓶を手にとり、クイと飲み干す。
相変わらずスゲーマズいしいい加減にしてほしい。飲みやすさを一切考慮していない味だ。(なにしろただの血ですからね。)

『今日はあのお方はいないのですか?』

私は、斜め上の方に鎮座している琵琶の鬼に聞いてみた。

「いらっしゃっていません。」

『あーよかった。てことは私が先月うっかり外で透明になっちゃってたまたま外をうろついてた猗窩座さんを見つけて無断で入ってびっくりした猗窩座さんの体の中が気持ちよすぎて泳ぎすぎちゃって、猗窩座さんのこと気絶させちゃったの気づかずにほっぽらかしてうちへ帰って朝が来て猗窩座さんがちょっと焦げた話は、あのお方の耳には入っていないんだね。』

「今、入りました。」

琵琶の鬼がそう言うやいなや、私は後頭部を思い切りぶん殴られて吹き飛んだ。

『やーーーーん!!!』

べしゃっ、と琵琶の鬼のいる高さまで飛ばされて、落ちる。
琵琶の鬼がちょっとだけイヤそうな顔をした。

「このゴミが!!!外でアレをやるなと何度言えばわかる!!!」

『わーん!!!いないって言ったじゃん!!!琵琶鬼の嘘つき!!!』

「聞かれた時は、まだいらしていなかったので。」

『役所かよ!!!』

目にものを見せてやる。
私は、透け始めた手のひらを見せつけながら琵琶の鬼にビョンと飛びかかった。

「!!」

琵琶の鬼は一瞬、動揺して反応が遅れたが、結局、私が体にまとわりつく直前にその撥は弦を弾いた。

ーーーべんっ、

『……あーーー!!!琵琶鬼のやつ!!!』

「ーーーうわ、びっくりした。なんだ、雑草鬼ちゃんじゃないか。また俺に会いに来たの?」

『寄るなあーーー!!!』

ーーーべんっ、

「おっと失礼しました。間違えました。」

それでは改めて、さようなら。
琵琶鬼は澄ました顔で言うと、ーーーべべん、という音とともに、次の瞬間私はべしゃっと黒死牟さんの真上に落とされた。
あいつ、可愛い顔してひどいことする。
今度は絶対絶対あいつを泳いでやる。私は心に決めた。

『降りろ……。』

「降りません。入ります。失礼します。」

そして鬱憤をはらすように、のびのびと黒死牟さんをねぶり尽くしたのだった。

縄→←いつかは死ぬ



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謳歌 - のど飴の化身さん» とても面白かったです!最後の所で泣きました。・゜・(ノД`)・゜・。 (2021年1月11日 19時) (レス) id: 2846259f4e (このIDを非表示/違反報告)
lily(プロフ) - 面白かったです。楓草ちゃんは結局何だったのか、気になりました。 (2020年7月3日 22時) (レス) id: f424b7f897 (このIDを非表示/違反報告)
のど飴の化身 - とても面白かったです………o(*⌒―⌒*)o (2020年6月26日 19時) (レス) id: 66d0f684a3 (このIDを非表示/違反報告)
セナ(プロフ) - 完結ですね…お疲れさまでした!素敵な作品をありがとうございます。 (2020年6月20日 17時) (レス) id: 9a1a35c746 (このIDを非表示/違反報告)
ジャイアント雌ゴリラ☆腐りきったトマト☆腐死鳥(プロフ) - イトカワさん» アッ……(昇天)(ですよね〜) (2020年6月19日 19時) (レス) id: e93c791cbf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イトカワ | 作成日時:2020年3月30日 3時

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