［完］黒死牟邸に居候してます (ページ17)

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罰と雑草 ① ページ17

＊＊＊

「猗窩座。」

あのお方が激怒しているのを、俺は全身で感じる。
汗が吹き出し、あまりの恐怖に手足どころか内臓まで震えている。

「お前は、柱から逃亡したな。」

違う、戦闘では追い込んだが、致命傷を負わす直前で朝が来たのだ。
反射的にそう思ってしまったため、あのお方を余計に怒らせてしまう。

「お前には、ほとほと失望した。
もう少し役に立つと思っていたが、見込み違いだった。」

ちなみに、あのお方は俺を叱責するとき、
必ず「もう少し役に立つと思っていたが」とか、
「もう少し骨のあるやつだと思っていたが」とか言うので、
多分俺は期待されている。
がんばろう。

「お前には、罰を与えることとする。
……震えて待て。」

その言葉が切れた次の瞬間には、俺は自身の屋敷の道場に座っていた。

＊＊＊

ーーーべん、

『ギャーーーッ！！びっくりした！！！
急にふわっとなるから！
いつもと違う戻し方やめてほしい！！』

そして、数日後、罰は突然訪れた。

いつものように道場で鍛錬をしていたときだ。
左手を正拳突きの型に落とし、拳に闘気を集中させていると、
突然その拳の真ん前にパッと例の雑草鬼が現れた。

雑草鬼は、正座したまま、ギャーッと喚いている。
そして俺を見てまたギャーッと叫んだ。

『しましま鬼！！！』

「誰がしましま鬼だ！！！」

『どうしてェ……。おうちに帰してェ……。』

「あそこはお前のおうちではないだろうが。」

黒死牟殿も、何が悲しくてこんな雑草を飼っているのか。
めそめそと嘘泣きを始めたA草とかいう鬼を見て、俺は心底げんなりする。
そして、そいつが顔を覆っている両手が、じわじわと透け始めているのに気づいた。

ーーーお前には、罰を与えることとする。

あのお方の声が脳裏に蘇るとともに、
以前畦道の真ん中でこの雑草にいいようにされた屈辱を思い出した。