第9話 ページ9
エースから告白されて数週間が経った。驚く程に学園生活は以前と何も変わらない。何も変わらさすぎてあの時が幻覚だったのか?と思ってしまいそうになるけど、二人きりになるとそうじゃないと目が覚める。
「なぁ、A」
「なんだよ」
「お前、あからさまに避けすぎ。あの鈍感デュースにさへAと何かあったのか?て言われたんだけど」
やっぱり気まずいていうのが大きい。
エースは俺のことを好きらしいけど、俺は同じ気持ちを持っていないからこそ申し訳ない。それに思わせぶりな言動をこれ以上したくない。
「ごめん。気をつける…」
「ぜってーに無理だろ」
一気に距離を縮めてきた。咄嗟に避けるがエースがそれを許すまいと手首を掴んできて距離を置けない。
「お前さ、今まで誰かと付き合ったことないの?」
「あるけど…」
「ふぅん、あるんだ。なのにオレとは付き合えない?」
黙秘する俺にエースは「黙りかよ」と拗ねたように少し口を尖らせる。
「オレ、そんな信用ないの?」
「別に…そういうことじゃ…」
「信用してないじゃん。好きと言っても信用出来ないて言われたしな」
「好きなんて言っておきながら本当に好きなのは自分なんだよ。対して相手のことなんて好きじゃないから」
「お前…」
エースが呆れるように俺を呼び、ハッと我に返る。面倒臭い奴だと思われた。引かれた。それで諦めてくれるんだったらそれでいい。
「裏切られるのが怖いってこと?だから信用出来ないんだ?可愛いとこあんじゃん」
「は?なんでそうなるんだよ!?」
「あ、照れた。もしかして可愛いて言われ慣れてないの?」
「今のところに可愛いとこなんて何もないんだけど!」
どういう解釈をしたらそうなるんだ。予想以外な解釈に驚くAを他所に、エースは何故か上機嫌で彼の首に腕を回した。
「つかさ、お前は俺を信用出来んの?そもそも俺はこの世界の住人じゃないんだよ?」
「だからなに?今一緒にいるじゃん」
「もしかしたら明日には帰れる方法が見つかるかもしれない。そうなったら俺は迷わずお前を裏切って元の世界に帰るよ」
エースは納得するかのように「あぁー」と声を出す。首に回した腕を離してエースはじっと俺を見つめてゆっくりと口を開いた。
「絶対に元の世界に帰させねーよ」
エースは悪役のように目を三日月のように細め、口角を上げて不敵な笑みを浮かべた。
194人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
原(プロフ) - ももももももつつつさん» 返信がかなり遅くなってすみません。今回はエースがメインなのでバスケ部を多めに入れてみました.ᐟ.ᐟ書いていて楽しいです> < 更新再開しますので最後までお付き合い頂けると嬉しいです.ᐟ.ᐟ (12月1日 4時) (レス) id: fac85d8135 (このIDを非表示/違反報告)
原(プロフ) - 檸檬さん» 返信がかなり遅くなってすみません。今作は監督生と男主の文章を練っているつもりなので嬉しい言葉です(;;)更新再開しますので最後までお付き合い頂けると嬉しいです.ᐟ.ᐟ (12月1日 4時) (レス) id: fac85d8135 (このIDを非表示/違反報告)
ももももももつつつ - くぁぁぁぁあ!!!ストーリーも面白いし、ジャミル、フロイドの会話も面白い!!!バスケ部最高!!!頑張ってください!!!! (2023年2月8日 2時) (レス) @page25 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - すごい面白かったです!!監督生ちゃんの葛藤とか、男主くんの感じとか全部好きです!!御身体に気をつけて更新頑張ってください!応援してます(*^^*) (2023年2月8日 0時) (レス) @page25 id: 069557edb4 (このIDを非表示/違反報告)
原(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて大変嬉しく思います☺️更新頑張ります! (2023年1月19日 10時) (レス) id: 767bd22d2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:原 | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/x_hara_?/)
作成日時:2023年1月11日 18時