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「教科書は全て頭の中に入っているよ。だから学校のロッカーに置きっぱなし。身体中に文房具を仕込んでおけば、鞄は不要だね。僕の場合、体育の着替えなんかは、いらないし」

「ああ、なるほど」

「両手が自由になっていないと、いざというときにどうしたって戦いにくいもの」

「…………」


全身凶器。

人間凶器。


「僕は女子じゃないから、生理とかないし、生理用品とかを学校においたままにするのに抵抗があっても、困らないしね。友達がいないから誰からも借りられないし」

「……そういうことをさらりと言わないで」

「何。文字通り生理現象なのだから、恥ずかしいことではないでしょう? 隠す方がいやらしいと思うけど」


 隠さないのもどうかと思う。

 いや、個人の主義だ。

 口には出すまい。

 むしろ、意識に止めておくべきなのは、よりさらりと言った__友達がいないからという、発言の方なのかもしれない。


「ああ、そうだ」


私はそういうのは気にしないけれど、先程のズボンに関する発言からも見て取れるよう、相川は、制服がほつれたりするのは嫌うだろうと、大きめの入り口を探し、そこに辿り着いたところで、私は相川を振り向いた。


「その文房具とやら、私が預かる」

「え?」

「預かるから、出して」

「え? え?」


法外な要求を受けたという顔をする相川だった。あなたって頭おかしいんじゃないのとでも言いたげな感じ。


「歌詞さんは、なんというか、変な男だけど、一応、私の恩人なんだ__」

それに。

天宮の恩人でもある。


「__その恩人に、危険人物を会わせるわけにはいかないから、文房具は、私が預かる」

「ここに来てそんなことをいうなんて」


相川は私を睨む。


「あなた、僕を嵌めたんだね」

「…………」


そこまで言われるようなことかなあ?

しかし、相川は、かなり真剣な葛藤を、暫くの間、一言の口も利かずに、続けた。時折私をねめつけながら、時折足元の一点を見つめるようにしながら。
ひょっとしたらこのまま踵を返して帰っちゃうのかもしれないと思ったが、しかし、やがて、相川は「了承したよ」と、覚悟を決めたように、言った。


「受け取りなよ」

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がむしろ(プロフ) - コメント失礼します!とても面白く、原作の化物語の通りに書かれていて、読んでいてとても楽しかったです! (2022年4月13日 23時) (レス) @page1 id: b2402acd1c (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - ヒマリンさん» ヒマリンさんコメントありがとうございます!わざわざこの作品を見つけてくださり、そう言ってもらえて恐悦至極です!これからも原作通りに進められるよう頑張ります!! (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
ヒマリン - 本当に化物語の通りでした。 すごいです。 (2021年1月7日 10時) (レス) id: 88fe224ab8 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - うたねこさん» うたねこさん初めまして、感想ありがとうございます!どちらも好きな方がいらっしゃるとは…!? 緩やかですが楽しみにしていただけているのなら光栄です(*'∀`*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
うたねこ(プロフ) - はじめまして!物語シリーズもまふさんも好きなのでめっちゃ嬉しいです。お話もこれからすごく楽しみです! (2020年3月22日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月20日 4時

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