How to love me?【赤緑】

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ぼんやりとすばる君と初めて出会った日のことを思い出しながら駅のホームでスマホを取り出す。

誰からも連絡がきていないことを確認して、またぼんやり向かい側のホームを眺めた。

平日の昼間に女子高生達が身を寄せ合って楽しげに話している。
……テストやったんかな。
なんて、どうでもよいことを推察しながらホンノリと期待してまう。


すばる君に、会えるんやないかって。


すばるさん、からすばる君、に呼び方が変わった頃から街を歩く度にそんな淡い期待を抱く。
すばる君がこの街に住んでいないのは一目瞭然やっていうのに。

やって、この街に住んでるとしたら、すばる君がうちの店を訪れてる事が奥さんにバレやすいやん。



『3番線に入ります列車は12:06発永戸行き……』



聞き慣れたアナウンスとベルの音。


奥さんおるくせに何でうちの店来んねん。
奥さんおるんやから来んければエエやん。

そんなこと言えるわけない。
薬指で光るソレを見て胸を締め付けられるくせに。
こんなに苦しいならすばる君になんて出会わなければ良かったとさえ思うのに。

それなのに、すばる君に指名される度に嬉しくなってシフト入ってへんくても受け入れてしまうのは。
大学の授業より優先させてしまうのは……。


俺の背後でプシューと音を立ててドアが閉まると、電車はゆっくりと走り出す。
流れていく住宅街の風景は、もう見慣れた。
上京したての大学1年生の時には、目に移る全てのものが輝いて見えたというのに。



もう、大学生になって３年経つんか。
……すばる君と出会って３年目。

3年間という月日の中で俺は何か変わったんやろうか。
何だかすばる君がいる、この東京から出て行きたくなくて、地元の同窓会の招待状を無視したことを思い出す。

高校時代の友達が今の俺を見たら引かれるような気がして。
こんなの恋愛じゃなくてただの依存やないか。

恋愛だろうが依存だろうが、どっちでもエエ。
結局、すばる君の隣にいたいと思うことには変わりないんやから。




「……。」



2駅先にある大学に通っていることはすばる君には言っていない。
大学生であんなバイトしてるなんて知られたら引かれるかもしれへん。
そもそも大学生なんてガキなら相手にならん、って軽蔑されるかもしれへん。

そう思ったら年齢は誤魔化すしかなかった。
俺は嘘を重ねないとすばる君の隣におれへんから。



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