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チーフの言葉が終わると会議室には沈黙が訪れた。
カチカチ、という時針が鳴る音が霞むほど……俺の心臓はどくんどくん、と波打っている。
やって。そんな言い方って。
「……チーフの好きな人って丸山さんやなくて」
「まだそれ信じ取ったん?」
って、呆れたように眉間にシワ寄せるチーフの目は優しかった。
目尻にシワ作って微笑む。
「俺が好きなんは、大倉君やから。」
ひゅぅっと喉の奥が締まる。
真っ直ぐなチーフの目が恥ずかしくて目を逸らす。
あぁ、早く言わなくちゃ。
俺もチーフのことが好きやって。
俺はまんまとチーフの策に掛かってもうたって。
「……俺も、です」
「え!」
俺の口から出た声は思ったより小さくて、聞こえてるか心配になったけど、ちゃんと聞こえたみたい。
目を大きく見開いたチーフは、ホンマに!?って声を上ずらせた。
ホンマです、って返すとチーフは満面に笑顔浮かべる。
待って、チーフってこんな可愛え人やったっけ。
「なんか、チーフの罠にまんまと引っ掛かったの悔しいです……」
チーフは満足そうにニコニコして、俺の頭を撫でた。
その時背伸びしてたのは、気付かなかったことにしてあげる。
「ふふ、ごめんなぁ?」
クスクスっと口元に手を当てて笑うチーフの頭には角が見える。お尻から尻尾生えてるように見える。
見た目はこんな可愛えのに……中身は悪魔のよう。
.
.
.
計算なのか、天然なのか。
本音なのか、嘘なのか。
付き合ってから2年経った今でも、その線引きは分からへん。
でもきっと、俺はチーフが好きで、チーフは俺が好き。
『可愛いの嘘つき』【完】
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れいんと。(プロフ) - つらきさん» コメントありがとうございます!更新速度が遅くて申し訳ない…。んー、どうでしょ。その辺りにも触れていきたいと思っています笑 (2021年10月3日 9時) (レス) id: e2762dc7c7 (このIDを非表示/違反報告)
つらき(プロフ) - 大量更新ありがとうございます〜!!これからの展開が楽しみです。青さんが何を考えてるのか全然わからない笑 橙さんは少し緑のことが好きだったのかな、だから出勤してきたのかな、と考えを巡らせてます。更新頑張ってください! (2021年9月27日 11時) (レス) id: 5dae2b6d43 (このIDを非表示/違反報告)
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