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そう察してしまうと涙が出てきそうになる。

あれ、俺ってこんなに丸山さんのこと好きやったっけ。
俺がどう必死に説明したって、言い訳にしか聞こえへんのやろうか。

ただ俺は丸山さんの事が好きで。



とにかくこの場から逃げ出したくて、俺は一番近いところにあったボタンを押した。
出てきたのは全く飲みたくない、…青いラベルのコーヒー。

丸山さんは俺が選んだコーヒーを見下ろして
酷く温度のない目で小さく笑った。

せめて、出てきたのがこれやなかったら何か変わってたやろうか。
何でよりにもよって、チーフとお揃いのコーヒーなん?



「…。」



今、声を出したら泣いてまいそうで、無言でコーヒーを渡す。
…少し温くなってもうた方やないコーヒーを。



「チーフって、丸山さんのことが好きなんですよね」

「……。」

「じゃあ何で僕とキスしたフリなんてしたんですか。そんなの、丸山さんにチーフやって勘違いされますよ」

「…別に、エエ」

「は?」

「俺はマルに勘違いされても、別にエエねん」



チーフはペットボトルの蓋を開けて一口、飲んだ。
青いラベルをそっと人差し指で一回だけ撫でて。


「そんなに、嫌でしたか?」

「は?」

「僕が言った言葉です。あの時はホンマにごめんなさい」



俺は深く頭を下げた。
もう丸山さんとの誤解は解けへんって分かってる、けど。
どこかで、まだ、誤解が解けて
マルちゃんって呼べて、行くはずやったバーに連れてってもらえる日が来るって、淡い期待を抱いてる。



「…マルと、会ったん」


何で分かったんやろ。
反射的に頭を上げると、チーフは怒ってるような
でもどこか寂しそうに笑った。


「そんなにマルのこと好きなん?」


はい、と俺は小さく肯定する。
だから、チーフには負けたくない。譲れへん。
……あれ、でもチーフ、さっきマルに誤解されてもエエって言うてた。
え?
もしかしてチーフ…

丸山さんのこと好きなわけちゃうってこと?
でもそしたら、あの時怒った理由が説明つかんくなる。



「そっか。…なら、もうエエわ」


.

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れいんと。(プロフ) - つらきさん» コメントありがとうございます!更新速度が遅くて申し訳ない…。んー、どうでしょ。その辺りにも触れていきたいと思っています笑 (2021年10月3日 9時) (レス) id: e2762dc7c7 (このIDを非表示/違反報告)
つらき(プロフ) - 大量更新ありがとうございます〜!!これからの展開が楽しみです。青さんが何を考えてるのか全然わからない笑 橙さんは少し緑のことが好きだったのかな、だから出勤してきたのかな、と考えを巡らせてます。更新頑張ってください! (2021年9月27日 11時) (レス) id: 5dae2b6d43 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れいんと。 x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年9月5日 11時

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