A組の空気清浄機【ヒロアカ】

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相「雄英体育祭が迫っている」

雄英の体育祭とは、超常が起きてからは中止されたオリンピックに代わる日本の一大イベントだ。
私もオリンピックは流石に言い過ぎだと思うが、テレビ中継されて世界に流され、プロもスカウト目的で観戦するというものだから、改めてこの学校のすごさに気がついた。

ズルとかチートとか、言いたければ言えばいいが、私は競技内容を知っている。なので、今回はそれに向けて全力を出そうと思う。

『ふっふっ、高みの見物は終わりだぜ』

＊＊＊

『よー！轟！一緒に食え！じゃなかった、食おうぜ！』

担任のミイラ男から体育祭の開催を聞かされてからと言うもの、轟はどこかピリピリしていた。

ご家庭の事情だろうな。その辺は記憶に残ってるんだ。

轟「…構わねぇ」

重たそうに呟いてから蕎麦をすすった。こいつ確か蕎麦が好きだったよな。冷たい。

悩みがあるなら聞きたいと思い同じテーブルについたが、気難しい目の前のこいつが簡単に話すとは思えなかった。

『なんか悩みってある？』

轟「無ぇ」

驚くほど早く否定された。そんなんあるって言ってるようなものだよね。
轟もそれに気がついたらしく眉間にしわを寄せた。

『まあ、無いならいいよ』

無理に聞き出すこともない。言いたくないなら言わなくていい。私は部外者だし。
私も皿に乗っているクロワッサンを齧り出したら、ふと蕎麦をすする音が聞こえなくなった。
轟の方を見れば、ぽかんとした表情で私を見ていた。それにつられて私も同じような表情をした。

『え…なに…？』

何か変なこと言った？した？

轟「てっきり、無理やりにでも聞いてくると思っていた」

私があっさり退いたことに驚いたらしい。

『言いたくないなら言わなくていいと思ってるし、私には理解できないって思ったなら言わなくていいよ』

轟「…それは、信用してないみたいで嫌だ」

轟は苦い顔をして呟いた。そういうつもりで言ったんじゃないんだけどな。信用以前に。

私がクロワッサンをもしゃもしゃ咀嚼している間に、轟は口を開いては閉じて、まるで何かと戦っているように口をパクパクさせていた。
ものすごくじれったい。

『あのな、言いたいなら言えばいいだろ。言うだけでいいから。というかなんとなくは察しついてるし』

後押ししたところでついに轟は口を開いた。

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