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好きな人と共に薄っぺらい毛布に包まれていることが、こんなに幸せだと思わなかった。雪が降るかもしれないと天気予報が示していた朝。お互い何も身につけていないのに、眠る彼の腕が腰に回っているだけで、充分暖かく感じた。
『………ふふ、』
昨晩、彼が髪を乾かす暇もなく深いキスが始まってしまったから、深澤先輩の寝癖は横になっていてもなお、その形状が可笑しくて。少し開いた唇と、安心したように眠る表情に愛おしさが募った。どうか私の前では現実の苦しさを忘れられますように、とまるで聖母のような気持ちで、透き通るような彼の頬をなぞる
「ん、……んぅ、おはよ」
『おはようございます』
「うー！あぁ、よく寝た……あれ、まだ午前？」
『はい。まだ9時前です』
「ふは、そんな早い時間でもねーな」
『ふふ、それもそうですね』
「………ねぇ、やっぱさ」
『…？はい、』
「笑った顔、かぁいい」
『っ、え、』
「ふはは、いや、その驚いてる顔も好き」
仰向けだった彼の身体は、素早く私の方を向く。枕の上で頭の下に腕を敷いて、少しだけ見下げるように私を見る。まるで蛇に睨まれた被食動物みたいに肩をすくめて小さくなった私は、毛布を引っ張り上げて顔を隠すしか逃げようがなかった。
「あー、なぁに隠れてんのぉ？」
『んっ、ぅ……』
毛布の中の薄暗い視界の中で不意に腰に腕が回されて。その後すぐ、彼の指がなぞる様に背中を這うのを感じた。反射的に声が漏れるから、慌てて手で口を押さえる
「なぁんか無理に声抑えてねぇか？んー？」
『や、ぁ……』
「さっきまで散々聞いてたんだからいーのに。Aの声好きだし。ねぇ、もっと聞かせて？ん？」
『っ、わぁ、！』
毛布をばさり、と剥がされて、お互いの生まれたままの姿が晒されると、慌てて抑える両手でももちろん隠すことはできなくて、深澤先輩の視線を感じて顔を横に背けた
「………ほら俺に隠さないで………全部見せて」
『……もう見た、でしょ？』
「まだ、なーんも。肌の奥も、声の先もなんも。会ってなかった何年も、………いや、出会った高校時代からの分、ひとつも足りてないんだわ」
顔の横に突かれていた腕は、すぐに私の身体に触れ始めた。首筋に埋められた深澤先輩から感じる吐息が、激しくなるほどに私は幸せだと脳が痺れた。全部、少しでも早く彼にこの気持ちが届けばいいのにと、願った。
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kae(プロフ) - meeeeenさん» meeeeen様、いつも優しいお言葉をかけてくださってありがとうございます😢架空とはいえ、ありそうだなぁとお話の世界に入っていただけて嬉しいです🙏こちらこそ読んでくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします😭 (2023年4月4日 18時) (
レス) @page49 id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
meeeeen(プロフ) - 最後まで楽しく拝見させていただきました。勿論、彼らは素敵な人でそんなことはしないであろう…でも、想像できます。素敵なお話ありがとうございました！！ (2023年4月4日 11時) (レス) @page50 id: f8e174bf81 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - ゆきさん» ゆき様〜！いつも温かいコメありがとうございます😭あまり反応が無くて悲しくなってたんですが、一気に全部吹き飛びました😂これからも頑張れます…！ほんとにほんとに凄く嬉しいです！！これからも宜しくお願いします♡ (2023年4月2日 10時) (レス) id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - kae様、いつも刺さりまくるお話ありがとうございます！ ダークなスノさん最高でした🥹 またお話たのしみにしておりすます！ (2023年4月2日 8時) (レス) @page50 id: 6c8365d1f8 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - まーたんさん» まーたん様、コメありがとうございます😭のんびり更新とはなりますが今後ともお付き合いください💦 (2023年1月4日 15時) (レス) id: 0d3898dd38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kae
| 作成日時：2022年12月5日 0時
