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店のシャッターを閉めて、"閉店のお知らせ"の紙を外した。ゆっくりと店構えを眺めて、ひとつ息を吐いた。相手に負けた訳ではない。ラウール君を助けたい、その為にこの店を手放した事を墓前で謝った。私が彼を愛してしまった事が全ての原因だと。生前のおばあちゃんの優しい笑顔が頭に浮かんで、また『ごめんね』と呟いた。
「…………っ、Aちゃん！」
店の前の歩道の先から、大きな声が響いた。忘れもしない大好きな人が、息をあげながら走ってきた。
『ラウール君………っ、どうしたの！？その傷、……っ、！』
駆け寄ってくる彼の顔にある大きな青紫のアザに手を伸ばそうとすれば、それを制して、ぎゅう、と抱きしめられる。
「ごめんね、っ……本当にごめんなさい………僕のせいで、このお店が、」
『ううん……いいの。もう、いい』
「……僕が弱いから、っ、………パパに喜んでもらえないから。こうやってみんな、離れていくんだ……そうでしょ？っ、」
彼の身体を離して表情を見上げれば、大粒の涙を流しながら唇を噛んで。ああ、本当に子供みたいと愛おしくなって頭を撫でてあげる。
『ラウール君は悪くないよ？それより、また殴られたの？あの人とちゃんと約束したのに……』
「ううん、違う………これは………自分でやったんだ」
『えっ、？』
「Aちゃんのお店を守れなかった僕自身を許せなくて。だって偶然といえ、やっと見つけたのに。深く愛し合ったりできるような人。
…………
私は愕然とした。息が止まって、心臓が速くなる。
「ママと愛し合ってる事、パパが知ってから殴られるようになったんだ……家族なのにどうしてかわからなくって……ママがいなくなっちゃって、やっと同じくらい愛せる人を見つけたのに……嬉しかったんだよ？Aちゃんの力になれたらママになってもらえるって思ってたのに」
ああ、どうしたものか。彼の泣き腫らした笑顔がこんなにも歪んだものに見えるなんて。
「でもAちゃんのお陰で、もう殴られないよ？だからさ………ありがとう！これからも……僕のこと、愛してくれる？」
ラウール君の期待に満ちた眼差しに、私はただ微笑むしかなかった。皮肉なもので、私は結局彼を抱きしめ返すしかなかった。
「絶対離さないからね？
………愛してるよ、ママ」
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kae(プロフ) - meeeeenさん» meeeeen様、いつも優しいお言葉をかけてくださってありがとうございます😢架空とはいえ、ありそうだなぁとお話の世界に入っていただけて嬉しいです🙏こちらこそ読んでくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします😭 (2023年4月4日 18時) (
レス) @page49 id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
meeeeen(プロフ) - 最後まで楽しく拝見させていただきました。勿論、彼らは素敵な人でそんなことはしないであろう…でも、想像できます。素敵なお話ありがとうございました！！ (2023年4月4日 11時) (レス) @page50 id: f8e174bf81 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - ゆきさん» ゆき様〜！いつも温かいコメありがとうございます😭あまり反応が無くて悲しくなってたんですが、一気に全部吹き飛びました😂これからも頑張れます…！ほんとにほんとに凄く嬉しいです！！これからも宜しくお願いします♡ (2023年4月2日 10時) (レス) id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - kae様、いつも刺さりまくるお話ありがとうございます！ ダークなスノさん最高でした🥹 またお話たのしみにしておりすます！ (2023年4月2日 8時) (レス) @page50 id: 6c8365d1f8 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - まーたんさん» まーたん様、コメありがとうございます😭のんびり更新とはなりますが今後ともお付き合いください💦 (2023年1月4日 15時) (レス) id: 0d3898dd38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kae
| 作成日時：2022年12月5日 0時
