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でも決まって深澤先輩は呑気な会話を普通に続けるから、やっぱり彼の中に私は背景でしか映っていないんだと、現実を思い知らされた気になって終わるのだけど。なのに今回ばかりは違った。彼は切ない表情で私をまっすぐ見つめて、唇を震わせながら言葉を溢した。
「………フラれたんだよねぇ、彼女に」
『え、』
深澤先輩とその彼女は高校の誰もが知る有名カップルだった。明るくて人気者の美男美女。2人で卒業後に上京して同棲した事は周知の事実で、結婚目前だと………所詮他人の噂話なんてのは大概ろくなものではないけれど、今回ばかりは驚きだった。だって本当にお似合いだったし、その仲に亀裂が入るなんて考えられなかったから。
「なぁーんでかねぇ？何が間違ってたかわかんねぇの。でも、別れたいんだって。そんなのさぁ、泣かれて懇願されたら、仕方がねぇって受け入れるしかなくね？」
呆れたように私の横でただ愚痴をこぼすように、そう話した深澤先輩は、まだ起きて日が浅いその現実を受け止められていないようだった。
『それは……辛いですね』
「なぁんで、Aが泣きそうなのよ………ほんっと根っから優しいんだからさぁ」
優しく頭を撫でてくれる手が、昔と同じように逞しくて大きかった。違う、貴方が好きだからです。そう言えたらどんなに楽だろうか。恋とは想い人の苦しみを自分のように感じてしまうものではないのか。深澤先輩は分からないの？いや、私のこの押し付けがましい片思いを知らないだけだ。そう思っていたのに。
「ねぇ、Aちゃんは………俺のこと好き？」
『え、……』
「あ、友達とかじゃなくて。………本気の、やつ」
『………』
「昔からずっと、俺のこと考えてくれてたっしょ？」
『………』
「………無言は肯定とみなすけど？」
知らなかったはずの人は、全てを悟っていた。それどころか悲しそうな嘘の顔を私に向けながら、自信満々に問うてくる。深澤先輩の真意に嫌でも気づいてしまった私は、苦しさと同時に自分が選ばれた事への念願が叶った喜びに戸惑うばかり。それを見抜くように、後押しするように。目を伏せた私にゆっくりと距離を詰められた影が覆って、下から掬い上げるように、深澤先輩は私の唇を奪った。
『っ、……』
「…………ごめんね」
唇が離れても、まつ毛がぶつかりそうなまま放たれた謝罪は、私の頭の中をさらにぐちゃぐちゃにした。
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kae(プロフ) - meeeeenさん» meeeeen様、いつも優しいお言葉をかけてくださってありがとうございます😢架空とはいえ、ありそうだなぁとお話の世界に入っていただけて嬉しいです🙏こちらこそ読んでくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします😭 (2023年4月4日 18時) (
レス) @page49 id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
meeeeen(プロフ) - 最後まで楽しく拝見させていただきました。勿論、彼らは素敵な人でそんなことはしないであろう…でも、想像できます。素敵なお話ありがとうございました！！ (2023年4月4日 11時) (レス) @page50 id: f8e174bf81 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - ゆきさん» ゆき様〜！いつも温かいコメありがとうございます😭あまり反応が無くて悲しくなってたんですが、一気に全部吹き飛びました😂これからも頑張れます…！ほんとにほんとに凄く嬉しいです！！これからも宜しくお願いします♡ (2023年4月2日 10時) (レス) id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - kae様、いつも刺さりまくるお話ありがとうございます！ ダークなスノさん最高でした🥹 またお話たのしみにしておりすます！ (2023年4月2日 8時) (レス) @page50 id: 6c8365d1f8 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - まーたんさん» まーたん様、コメありがとうございます😭のんびり更新とはなりますが今後ともお付き合いください💦 (2023年1月4日 15時) (レス) id: 0d3898dd38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kae
| 作成日時：2022年12月5日 0時
