熱中症 7 ページ8
智Side
翔「着いたよ〜。
思ったより小さな病院だったね。」
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病院というよりは、診療所って感じ。
でもそのくらいの方がAにはちょうどいいかな。
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智「じゃあ僕と和で行ってくるね。
みんなはここで待ってて。」
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さすがに5人も付き添いはいらないと思ったから、
僕と和だけで連れて行くことにした。
他の患者さんの邪魔になっちゃいけないしね。
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智「A、いくよ?
おてて離して?」
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再び泣き出してしまったAは、車から降ろそうとすると、
座席のヘッドレストにしがみついて離れなくなってしまった。
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和「あらあら。
ほら、智にぃが抱っこしてくれるってよ?」
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必死で抵抗するAだけど、
体に力が入らないのか、和の手によって簡単に車から降ろされてしまった。
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潤「A、大丈夫だよ。
ちゃんと智にぃも和にぃもついてるしさ。ね?」
雅「そうそう。抱っこしててもらえば怖くないでしょ?」
翔「頑張って行っておいで。
先生が気持ち悪いの治してくれるから。」
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みんなからの声が届いているのかいないのか、
僕の服をぎゅっと握りしめながら顔を胸にうめているA。
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僕はスンスン鼻を鳴らしているAをしっかり抱き上げながら、
“行ってくるね”と声をかけて車のドアを閉めた。
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病院の中に入ってみると、
中には数人の患者さんがイスに座って待っていた。
和が受付をしてくれているうちに一番端っこのイスに腰掛ける。
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正直もっと大泣きされると思ってたんだけど・・・
今はそれどころじゃないのかな・・・
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Aはまた気分が悪くなってきたのか、
僕にへばりつきながら声を出さずに泣いていた。
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智「A、気持ち悪くない?
ゲェしない?」
「んっ・・・・ｸﾞｽｯ・・・・・ふぇぇ」
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待合室で吐かれると大変だからね。
一応袋は持ってきてあるけど、あまりに急だと間に合わないよなぁ・・・
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今は顔色もそれほど悪くないから大丈夫だとは思うけどね。
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「ふぇ・・・ぅぅ〜・・・・ｸﾞｽｯ・・・・」
智「だいじょーぶ。
ちゃーんとおにぃがついてるからね〜」
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Aが小さく震えているのに気付いて、
体を抱きしめる腕に、少し力をこめた。
慣れないところにつれてこられたら、そりゃ怖いに決まってるよね。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年9月28日 23時
