親知らずなんて、俺知らない 2 (翔) ページ44
翔Side
雅「ん〜・・・よしっ、おっけい!!
上手に磨けるようになったね。」
「やったぁ〜」
智「よかったね〜。
これでもう虫歯の心配はないかな。」
.
.
夕食後、俺がまったりとテレビを見ている横で、
雅紀がAの歯磨きチェックを始めた。
一週間に一回、こうしてきれいに歯が磨けているか確認してるんだ。
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正直、俺の前で歯医者さんの顔をのぞかせるのは勘弁してほしいのだが、
そんなこと口に出せるわけがない。
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この場から離れればいいんだろうけど、
コソコソと部屋をでていくのは、かえって怪しくなるからね。
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だから何事もないかのように、
“俺はテレビに夢中なんだ”っていうオーラをだしていたんだけど・・・
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“翔にぃ”
.
翔「ﾋﾞｸｯ・・・・ふぇ??」
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まさかここで声がかけられるとは思ってなくて、俺の体はビクッと跳ねた。
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雅「なんつー声だしてんの(笑)
お風呂、先に入ってくる?」
.
なんだよ・・・そんなことか・・・
びっくりさせないでくれよ。
.
翔「う、うん。
じゃあお先に。」
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俺はバクバクいっている心臓を押さえながらフゥっと息を吐き出すと、
平静を装ってスタスタと雅紀の前を通り過ぎた。
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はずだったのだが・・・・・・
.
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雅「あっ、ちょっと待って。」
.
いきなり雅紀に腕をつかまれて引き戻された。
・・・・なんか嫌な予感しかしないんだけど。
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翔「なっ・・・なに?」
雅「ふふっ。これこれ。」
.
俺の目の前にデンタルミラーをチラつかせている雅紀。
そんなもん、家に持ってくるなって。
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翔「それ・・・・が?」
雅「もー、わかるでしょ?
ちょっと確認しておきたいことがあるから。
お風呂入る前に。ね?」
.
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.
あぁ・・・俺の予感的中。
なんで雅紀はこんなにタイミングがいいんだ・・・
.
俺が歯が痛いってこと、わかってたっていうの?
それとも歯医者の勘ってやつか・・・
.
.
どちらにしろ、俺が今やばい状況にいるっていうのはたしかだ。
.
さあ・・・どうやって逃げよう・・・
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年9月28日 23時
