病院脱走!! 10 (和) ページ43
智Side
病院に運び込まれた和の状態は、
幸い思ったより重篤なものではなかった。
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酸素投与と点滴で呼吸も安定して、
規則正しく胸を上下させながらスースーと眠っている。
そんな和の姿を見て、僕は全身から力が抜けていった。
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智「かず・・・・目、覚めたね。」
和「さとにぃ・・・・・・・・」
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しばらく眠り続けていた和。
一日以上たって、ようやく目を開けてくれた。
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智「公園で倒れてたんだ。
呼吸困難になりかけてたけど、今はもう大丈夫。
よく・・・頑張ったね・・・」
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和「ぅぅ・・・っうぅ・・・ｸﾞｽｯ・・・・」
智「かず・・・・?」
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和「ｯｸ・・うっ・・・うぅ・・・ごめ・・・ぅぅ・・ごめん」
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つけている酸素マスクが、和の嗚咽に合わせて白く曇っていく。
溢れ出す涙は、筋を作ってこめかみを流れ、
枕にスーッとしみこんでいった。
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和「うぅっ・・ｸﾞｽｯ・・・ごめんなさい・・・めいわくかけて・・・」
智「違うんだ・・かず・・・
僕が・・・」
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和「そうじゃないよ、さとにぃ・・・・
おれが、にげたんだ・・・・ｸﾞｽｯ・・っん・・・
自分のための治療なのに・・・・ﾋｯｸ・・・
こわかったんだ・・・・おれ・・・・」
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智「うん・・・・・・。」
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和「おれのこと・・・・探してくれたんでしょ?
さとにぃがこなかったら・・・ｸﾞｽｯ・・・・・いまごろ・・・」
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智「そんなことさせない。
僕がいる限り、和の命はなくならないよ。
それに・・・今回のことは、僕が原因だから・・・
僕のせいで・・・和を危険な目にあわせちゃって・・・」
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和「智にぃのせいじゃないよ・・・
俺が、自分でやったことだから・・・・
よけいな心配かけて・・・ごめんなさい・・・・」
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智「僕がもっと和の気持ちを考えてあげればよかったんだ。
・・・・わかってたんだよ。
和が、どうしようもないくらい恐怖を感じてたってこと。
でもそれも、治療だからって・・・
和のためなんだって・・・そう思ってた。
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でも違ったね。
本当に和のためを思ったら、
もっと違うことを試してみるべきだった。
一番早く和を楽にしてあげられるって思ってたことが、
和をここまで追い詰めちゃったんだよね。
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ちゃんと和のことみてやれてなかった・・・
僕の方こそ・・・ごめんなさい・・・」
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年8月24日 1時
